水産業の盛んな愛媛県の中でも,ハマチやマダイなどの魚類養殖業は,真珠養殖業とともに地域の基幹産業の一つとして,重要な産業となっています。この内,魚類養殖業では,魚に与える餌として,以前はマイワシを中心とした生餌が主に使われておりましたが,マイワシの漁獲量が激減し,価格が高騰して入手も困難になったため,モイストペレットやドライペレットが使用されるようになりました。

 このペレット類には,南米や北欧から輸入される魚粉がタンパク質源として多く含まれていますが,原料となる生魚の漁獲量が不安定なため,魚粉の供給は安定せず,魚粉に代わるタンパク質源の開発が望まれています。
 そこで,愛媛県水産試験場では,ハマチ・マダイ飼料の魚粉を大豆油粕,コーングルテンミール,チキンミールなどの代替タンパク質を用いて削減する試験を行っておりますので,その一例を紹介します。

 試験には表1に示すハマチ用ドライペレットを用いました。対照には市販飼料を用い,2・3区には代替タンパク質を併用配合して魚粉配合率を27%に削減した低魚粉飼料を用いました。飼育試験は,愛媛県漁業協同組合連合会と共同で,宇和島市戸島の漁場にて,戸島漁業協同組合漁業後継者の皆さんの協力を得て行いました。
 
表1.試験飼料の配合組成
 魚は試験飼料を活発に食べ,低魚粉飼料の嗜好性に問題はありませんでした。また,各区の魚の生残率も90%前後と高く,低魚粉化に伴う死亡魚の増加はみられませんでした。
 各区の魚の成長はほぼ同様に推移し,約1年3ヶ月の飼育により4.2kgに成長し,飼料の低魚粉化による成長への悪影響もみられません。
 各区の1日あたりの平均成長率(日間増重率),1日あたりの平均の飼料給与率(日間給餌率),および1kgの体重増加に必要な飼料の量(増肉係数)も,ほぼ同等となり,低魚粉飼料使用による飼育成績への悪影響もみられませんでした。
 低魚粉飼料で養殖されたハマチ(中・下段)は,対照の市販飼料区の魚と,外観的に何らの遜色もありませんでした。
 生産されたハマチの食味試験をした結果,低魚粉飼料区の魚の評価は,市販飼料区の魚に比べて高く,注目されました。
 市販飼料区の肉質評価に『柔らかい』,『魚粉の匂いがする』などのコメントがあり,低魚粉飼料区では,これらの点が改善されたのではないかと思われます。

 以上の様に,成長・飼育成績および肉質に悪影響を与えることなく,代替タンパク質を用いてハマチ飼料の魚粉配合量を大幅に削減できることが分かりました。
 現在,ハマチならびにマダイについて,魚粉を全く含まない飼料の開発試験を行っており,これらの無魚粉飼料でも養殖ができることが分ってきております。

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