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ネパールの子ども達に学校を
プレゼントする会

ネパールの民話

神々の住む聖なる山
ヒマラヤ
そのふもとに暮らす人々に伝わる話
語り手には花輪で
聞き手には金の輪
このお話は天国に着き
語るときには
すぐ口に 、、、

アイウエオ・サークル編集発行
B6版250頁 ¥1,300
問合せ先:アイウエイサークル
info@aiueo-circle.jp
(全27話)
第1話 「熊と針」
第2話 「ウゼリと雌ヤギ」
第3話 「サドゥとネズミ」
第4話 「貧乏なおばあさん
とオンドリ」
第5話       
第6話 「運がよい末っ子」
第7話       

 




第4話   「貧乏なおばあさんとオンドリ」

遠いむかし、ネパールのお話です。

そのころ、ネパールはたくさんの小さな国に分かれていました。そのうちのある国

の王様はとてもがんこで欲張りだったので、人々の暮らしは貧しく苦しいものでした。

ある村に、毎日森でまきを集め、それを町へ売りに行って暮らしているひとりのお

ばあさんがいました。しかしいくら働いてもかせいだお金を王様にとりあげられて

しまうので、おばあさんの暮らしは楽になりませんでした。

ある日おばあさんは、いつものようにまきを集めに森へ出かけました。そして森の

中で卵をひとつ拾いました。おばあさんは、その卵を大事に家に持ち帰りました。

そして、家に卵をおいたまま、町へまきを売りに出かけました。

夕方になっておばあさんが町から帰ってくると、昼間拾った卵が一羽のひよこに

生まれ変わっているではありませんか。

「まあ、なんて可愛いひよこでしょう」

おばあさんは、そのひよこを自分の子供のようにかわいがりました。

ひよこはどんどん大きくなり、とうとうきれいなオンドリになりました。

ある日のことです。おばあさんが家で夕飯のしたくをしていると、

後ろから、「お母さん」と呼ぶ声がしました。おばあさんは後ろを

ふりかえりましたが、オンドリの他にはだれもいません。

不思議に思ったおばあさんがオンドリをじっとながめていると、

こんどは確かに大きな声で、「お母さん!」と呼びました。

オンドリが人間の言葉を話すので、おばあさんは声も出ないくらい

ぴっくりしてしまいました。

さらにおどろいたことに、オンドリはおばあさんにたずねるのです。

「この国はなぜ貧しいのですか?」

このオンドリは人間の気持ちがわかるにちがいないと思つたおばあさんは、

涙ならに言いました。

「欲張りな王様が私たちがかせいだお金や一生けんめい作つた作物を

みんなとりあげてしまうのです。そのうえ大切な息子や娘まで宮殿に

連れていつて働かせています。だからいつも貧しいのです」

それを聞いて腹を立てたオンドリは言いました。

「王様をこらしめてやりましよう」

「どうやってこらしめるの」

おばあさんが聞くと、オンドリは答えました。

「私は王様が一番大事にしている娘をうばって結婚します」

「そんなことは無理よ」

おばあさんはびっくりしましたが、オンドリは平気な顔をして一言いました。

「どうか私に十パイサください。必ず人々の願いをかなえます」

おばあさんはオンドリを信じて十パイサあげました。オンドリはそれを受けとると、

町のお店に出かけました。

オンドリはお店に入ると、すぐさま主人に向かって言いました。

「お米をください」

お店の主人はオンドリがしゃべるのでびっくりしましたが、聞き返しました。

「でも、お米は何に入れましょうか」

「私の耳に入るだけ入れてください。十パイサ払います」

そう言うと、オンドリは耳を向けました。

そこで、お店の主人はオンドリの耳に米を入れはじめました。すぐにいっぱいにな

るだろうと思った主人でしたが、不思議なことにいくら入れてもいっぱいになりません。

とうとうお店のお米が全部オンドリの耳に入ってしまいました。

あわてた主人は泣きついて言いました。

「お金は返しますから、どうか私のお米を返してください」

オンドリはお金を受けとると、少しだけお米をもどしてお店を出ていきました。

そのあとオンドリは同じように油や塩を手に入れて、旅のしたくをしました。

さて、旅のしたくをすませたオンドリは、宮殿へと向かいました。

途中に川がありました。その川を渡ろうとしたとき、川がオンドリに聞きました。

「どこへ行くのですか?」

「王様をこらしめに行くのだ」と、オンドリは答えました。

「いっしょに連れて行ってください。私も王様に長い間、水を汚されています」

川はお願いしました。

「私の耳に入りなさい」

そう言って、オンドリは片方の耳に川を入れました。

しばらく行くと火に会いました。火はオンドリが欲張りな王様をこらしめに行くこ

とを聞いて、お願いしました。

「いっしょに連れて行ってください。王様は私の大事なまきや油を

ひとりじめにしています」

「私の耳に入りなさい」

そう言って、オンドリはもう片方の耳に火を入れました。

またしばらく行くとトラと出会いました。トラもオンドリの話を聞いて、

お願いしました。

「いっしよに連れて行ってください。王様は私の大事な子どもを殺してじゆうたんに

してしまいました」

オンドリはトラもまた同じように耳に入れて歩き始めました。

どんどん歩いて行くと、こんどはハチに出会いました。ハチも話を聞くと、

オンドリにお願いしました。

「いっしょに連れて行ってください。王様は私の仲間をみんな食べてしまいました」

オンドリはハチも耳に入れることにしました。

こうして、オンドリは川と、火と、トラと、ハチを耳に入れて宮殿に向かいました。

ようやく宮殿に着いたオンドリは、門番に頼みました。

「王様に伝えてください。私は王様の娘と結婚したいのです」

門番はぴっくりして、こんな小さなオンドリが王女と結婚するとは何とばかな話だと思い、

追い払うように兵隊に命令しました。

するとオンドリは耳の中にいるハチを呼びました。兵隊はハチに追いかけまわされて、

たいへんな騒きになりました。困った兵隊は、オンドリを後ろからつかまえると、

牛小屋に入れました。

こんどはオンドリはトラを呼びました。トラは耳から勢いよく出てきて、

牛をみんな殺してしまいました。

オンドリの不思議な力を見て驚いた兵隊は、オンドリを王様のところへ

連れて行きました。

オンドリは王様の前に立つと、言いました。

「私は王女と結婚するためにここにきたのです」

これを聞いた王様は、ものすごく怒って言いました。

「何だと、私の娘がおまえのようなものと結婚するなど絶対許さんぞ!」

「王女と結婚させてもらえないなら、私はこの宮殿を燃やします」

オンドリはそう答えました。

すると、王様は笑って言いました。

「どんなに力のあるものでも、この宮殿を燃やすことなどできるはずはない。

ましておろかな鳥であるおまえにそんなことができるわけがないではないか。もしやれると

いうのなら、やってみせるがいい」

これを聞いたオンドリは怒って耳の中の火を呼ぴました。火はたちまち宮殿を

燃やし始めました。

これを見た王様はあわててオンドリに頼みました。

「ああ、オンドリよ。娘と結婚させてあげるから、どうか火を消しておくれ」

そこでオンドリは耳の中の川を呼んで火を消しました。

こうしてオンドリはめでたく王女と結婚し、おばあさんをよんで幸せに暮らしました。

それからというもの王様は国民のために働くよい王様に変わったそうです。

語り手には花輪で
聞き手には金の輪
このお話は天国に着き
語るときには
すぐ口に 、、、


話を聞いてくれた人には感謝で尊敬して金の輪を、話を聞かせて下さった人には生きている花の輪を上げましょう。 遠い昔から、民話は子ども時代を未知の世界に連れて行ってくれる、年長者と子どもをつなぐ生きた文化でした。 その民話の中には善悪や優しい心、自然の摂理と社会のあり方が示されています。

ネパールでは民話を通して勉強し、意思の伝達を重ねてきました。私達にとって最も価値のあるのは生きている花です。
本物の花には命があり、花の上にはお釈迦様がいるからです。金は次に価値があります。どちらも大切なものです。 その大切なものを、民話を聞かせてくれた人に捧げる心は特に大事です。聞いてくれた人に捧げる心も大事です。 そうすればこの話は神様の住む天国に届き、未来永劫に保存されるでしょう。
天国は人間の求める最も素晴らしいところで、永遠です。ですから、 この話が失われる事はありません。

今日、この話を聞いてくれた皆さんが、どこかでまた人々 にこの話をして聞かせて上げられれば、
すぐに天国からあなた方の口に戻ってきます。

ネパールの語り部