それは、ひとつの謎から始まった。
或る日、とある飲み屋で、背後に座っていた六十歳くらいの白髪頭の男が、
その前へ腰掛けた、思わず眼を奪われずにはいられない、
清楚な美しさを漂わせた若い女に向かって、
しきりに、語っていたことだった。
「<矛盾表現主義 Contradictory Expressionism>と呼ばれる運動が存在する、
それは、いずれは、全世界を覆い尽くす思想、
つまり、万人がそれを根拠として考える、というありようになることだろう、
だが、いまは、まだ、知ることを望む者にしか開かれていない、
秘密の<扉>のようなものでしかない」
それに応えて、美しい女は、まなざしを大きく見開いて、熱心に問いかけていた。
「おじさま、教えてください、
どこへいけば、その<矛盾表現主義>を知ることができるのですか」
白髪頭の男は、掛けていた銀縁の眼鏡を外し、かぶりを振りながら、
「<脳の劇場へ入る扉>としか知らされていないことだ、
それがどこにあるのか、私は、知らない……」
こうして、生まれた謎であった。
<脳の劇場>があり、
そこに以下のような<扉>があるとしたら、
それが<矛盾表現主義>への入り口とされているものにあたるのだろうか。
不可知で得体の知れない<矛盾表現主義>など、
そこから、何が飛び出すかもわからない冒険をしてまで、
開かねばならない<扉>であると言えるものなのだろうか。
少なくとも、ワン・クリック詐欺といった姑息な了見でないことは、
そのサイトの管理者は、最下段の<THEATER BRAIN>をクリックして、
確認して頂くことで理解されることになるかもしれないが、
謎は謎であり、謎は、そのままであれば、不安を招くものでしかない。
さて、如何としたものか。

― このお話の前段は、この館 にあります ―










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