
大谷権三郎の災難
チャッチャラララ ンッタッター♪
「手を挙げて横断歩道を渡りましょう!」
松崎 真でございます。
〜あ、せめて、山田君にすべきだったかしら?
これ知ってる人何人いるかなー? 〜
ブチッ。
テレビのスイッチを消した。
「あ〜、また明日から仕事かよ・・・。ゲッ、ゴキブリ!
ゴキブリのうごぎぶり!(動きぶり!)あ〜おやじギャグもさえないぜ・・・」
大谷権三郎は面倒くさそうにタバコに火をつけた。
「ん?」タバコをくわえて異変に気付いた大谷権三郎。
タバコだと思ったものはお線香。
んなもの間違えるっつーのがちとわからん。
「ちっ、どうりでいい匂いがすると思ったぜ」
そんな問題かい???
タバコを吸う気も失せ、大谷権三郎、ごろりと横になった。
プルルルルル
電話がなった。しかし大谷権三郎は電話に出るのがめんどくさい。仕方なく「電話は誰も出んわ」などと言うくだらんシャレを考えながら電話にに近づく・・・・
「めんどくせーなー。そうだ。」
カチャ
「もしもし、大谷権三郎さんですか??」
「ただいま留守にしております。ピーとなりましたらお名前とご用件を・・」
カチャ 電話が切れた。
「ふむ。我ながら上手くできたのぉ」
そんなことするなら出るなよな。こやつはどんな頭しとるんじゃ。
「さて、もう一眠りするか」
「そうそう、そういや〜、あいつが逝ってから一年だな・・・。」
さっきの線香を仏壇に片付けながら大谷権三郎はつぶやいた。
「布団がふっとんだ〜♪な〜んてな。(爆)」
干していた布団を取り入れようとベランダにでながらまたほざく。
「???あれ???本当に布団が無いぞ。どこへ行ったんだ?」
ピンポーン
「ちっ、こんな時に来客か。めんどくせーな。そうだ。」と玄関に急ぐ。
ガチャ
扉を開け顔を覗かせ「ただいま留守にしております。」と一言いい扉を閉めた。「どうだ、上手く行っただろ。ふっ。」
おいおい、本当にそれでいいのか?
ピンポーン。
またチャイムが鳴る。
「ちぇ! 急ぎの回覧か?」つい出てしまう律儀な権三郎。
あけてみると
「不在時確認票で〜す」
おぬし、だてに毎日あっちこっちでもまれとらんな・・・。
宅配便センターに電話をしながら、ふと権三郎が
風呂場をのぞくと・・・(← なんでや?)
こちらは玄関の外
「へへん、何がルスでえ。
百戦錬磨、奥様方のアイドル、
はんこくださいのシュンをなめちゃいけねえ。!」
・・・意地張るより、
はんこもらって荷物を渡した方が、
仕事の効率はいいということに、まだ気づかないか?
どうせまた来るんだよ、シュン
こちらは風呂場…
「うぎゃ―!な・何やこれ」
こちらは風呂場。
「な、何でこんなとこに消えた布団が!?し・しかもかえる付き!」
なんと、風呂場の中には消えた布団が在ったのだ。そして、布団の上には大量のかえる・・・・・
「し・信じられん・・・・・どうしよう。今夜は布団なしだ。今から一匹ずつかえるを追っ払うのも・・・・かえるがかわいそうだし。しゃーない。この布団ごと外に放り出すか。んで、新しい布団買っちゃおっと♪」
実は新しい布団が欲しかった大谷権三郎。布団を買う口実ができたので内心大喜び。
「よし、では早速買いにいこう。」
おーい。動くの面倒なんじゃないの??おーい。
玄関の扉を開けようとしたが、
ゴン
「え?何じゃ?」
何かにぶつかって扉が開かない。
「ふふふっ。この家は留守で誰もいないはずじゃないのかい?」
はんこくださいのシュンが表で扉を押さえにかかっている。
「留守の家に人が居るた〜おかしな話だ。泥棒です!泥棒がこの家に居ま〜す!お回りさ〜ん!」はんこくださいのシュンは大声で叫んだ。
だ〜か〜ら〜!!!はんこもらって荷物渡せば済むんじゃないの?シュンったら。
シュンの事情
実はシュン、前の家で荷物を渡すときに大嫌いな犬に遭遇。
追いかけられてお尻をパクっとされちゃったわけ。
で、虫の居所が悪い。そこで居留守を使われちゃったもんだからプッチンしちゃったの。プリンじゃないよ(←わかってるわ)。要するに切れちゃったわけ。
犬の心情
ところでシュンをパクった犬。
名前は【パクっといっちゃうぞの「ジョン・ビブラブレU世」】
この辺りじゃちょっとは名の知れたヤツ。
このオレ様に敵う配達屋は居ない!!と鼻カッタダカの日々を送って
いたのだ。
そこに現れたのが、ツワモノ「はんこくださいのシュン」。
今まで3回ほどヤツをパクるのに失敗していたのだ。
天敵
しかし、ジョン・ビブラブレU世の勝利感は、
長くは続かなかった。
「ジョ〜〜〜ン・ビブラブレU世〜〜〜」
・・・フルネームで呼ぶ、このビブラート付きアルトの声は
まさしく飼い主の・・・そう、蛸小路マリモ!
「もう少しでシュンちゃんは”お向かいさんのお荷物、
預かってもらえませんか?”って、来てくれたかも
しれませんのに。 飼い主の心イヌ知らず、って、
このことですわね」
マリモは愛犬を誇らしく思ってはいるが、最近それ以上に、
無敵の愛犬の攻撃を難なくかわすシュンの
機敏な足さばき、挑戦者のまなざし、光る汗を
ドアののぞき窓から眺めるのが、最近の楽しみだったのだ。
シュンの配達車のエンジン音まで聞き分けるなんて、
アヤシすぎるぞ、マリモ!
利害一致
「まあぁ〜〜〜たっきゅーびんさん、先ほどは
ウチの犬が申しわけないことをね〜〜〜」
取り込み中の権三郎家に近づくマリモ。
「お留守なんでしたら、アタクシお預かりしましてよぉ〜〜〜?」
中で聞いていた権三郎はぎょっ! あのおババは苦手。
シュンもぎょっ! この人の視線がいつもちょっとコワイ。
とっさに権三郎、手に持った不在確認票を思い出した。
「ああ、不在連絡票をもらって、今電話するところだったさ〜
今ドア開けるけど、サインでいいかな?」
シュンもプロ意識が復活した。
「はいはいっ! こちらにおねがいしまっす!」
これぞ男の友情!?
これで権三郎は布団を買いに、シュンは次の配達に。
シュン、時間指定荷物はないか?