ロリータ(12歳


ロリータ・コンプレックス、略してロリコンという言葉をご存知だろう。
 ロリコンというのはかなりあいまいな概念だ。そうであるにも関わらず、世の中に数ある性的嗜好の中で、ロリコンほど忌み嫌われている趣味もないのではないか。
 ロリータ・コンプレックスというのは、ウラジーミル・ナボコフというロシア人作家が1954年に発表した小説『ロリータ』に由来している。ある大学教授が下宿先を見つけるのだが、彼は自らの幼少期のトラウマからその家の女主人の娘、ロリータ(12歳)のとりこになってしまう、というような話だったかと記憶している。いや省略しすぎだと思うが、要するに「ロリータ」というのはもともと想像上の少女の名前であり、その小説が登場するまでは「ロリコン」という言葉は存在しなかったわけだ。
 少し考えてみよう。例えばまだ武士や侍がいた頃の日本の農村、多くの女性は10代前半で結婚「させられ」子どもを出産し、農作業を手伝うことが社会的に求められていたわけだ。その時代において、例えば14歳の女性と結婚した男性は「少女趣味」と呼ばれたであろうか。否だろう。なぜなら少女と結婚することが「当たり前」だったからだ。
 もちろん現在の少なくとも日本において、それは「当たり前」ではないし、ここまでの社会の変化が望ましいものであることは間違いない。しかし現在の通念から考えれば「変態」と呼ばれうるものも、時代が違えばそれが「当たり前」であったことも多く存在する。つまり、「ロリコン」という概念も時代や社会と共に変化しうるものであるわけだ。大げさだが。
 さて、先にロリコンとはあいまいな概念だと書いたのだが、それを具体的に考えてみたい。例えば30歳の男性が12歳の少女を好きになる。この場合、30歳の男性は一般的にロリコンと呼ばれる。20歳の男性ではどうか。そろそろ微妙だがやはりロリコンだろう。では15歳ではどうか。学校内で考えれば中学三年生の先輩が一年生の後輩を好きになる、というぐらいの構図だがはたしてこれもロリコンだろうか。いや、そもそもお互いに12歳だったら、いやいや8歳の少年が12歳の少女を好きになったら、と考えてくると明らかなように、問題はその年齢差でしかない。それも何歳以上離れていればロリコンか、という明白な基準など存在しない。もしも基準があるとすれば、それは「なんとなく」。別に同情するつもりはないが、ロリコンの人々は「なんとなく」の基準で「普通」の人から切りはなされて差別を受けている不幸な人々だ。まあ、差別というのは往々にしてそういうものかもしれない。
 それにしても、8歳の少年が12歳の少女を好きになった場合、その少年は「年上好み」とでも呼ばれるのだろうか。これもまた微妙な問題だ。

2001 / HICKORY04MASTER / mail to: gegen45acp@hotmail.com