二酸化炭素

1、どんな所で発生するか

   1、木や紙、ポリエチレンポリスチレン、プロパンガス、ガソリン、灯油、     等の炭化水素が完全燃焼した時や、ゴミ焼却場などの焼却施設、ボイラー、     産業炉、等から二酸化炭素が発生する。    2、地下駐車場、地下室、船内、機関室、などの自動消化設備には、火災の     とき、二酸化炭素が自動噴出するようになっている。    3、冷蔵庫、冷凍庫、保冷自動車、などには、ドライアイスを使用する場合が     あり、このドライアイスが外気温で昇華して二酸化炭素を発生する。    4、火山性ガスにより二酸化炭素が発生する。    5、自動車の排気ガスから二酸化炭素が排出される。最近では一酸化炭素を     減少させるための触媒コンバーターにより排気ガス中の二酸化炭素の濃度     は25%もある    6、二酸化炭素は殺虫用薫蒸剤、や野犬、ブタ、の屠殺に使われている。     ブタの屠殺では 電気ショックに加えて、60% 二酸化炭素とアルゴン      20% の混合ガスが使われる。電気ショックのみの場合よりも肉の質が     良いと言うので最近よく使われている。    7、電気アーク溶接の時、空気が流入して溶接部に空洞ができるのを防止     するためシールド用ガスとして使われる。1997年には液化二酸化炭素     総量需要の45%を占めるまでになっている。    8、生物の呼吸や発酵に伴って二酸化炭素が発生する。     タンク、船倉、貯蔵庫、サイロ、地下室、など閉じられた空間で、生物など     の呼吸や発酵が起こると、二酸化炭素が発生する。

2、症状、作用と許容濃度

 二酸化炭素が一定空間に噴出した場合酸素濃度の低下を伴うので二酸化炭素 による障害を酸素欠乏によるものとする誤った見方が依然として通用している。表 1、に、二酸化炭素濃度と人に対する作用、表2、には、一気圧における酸素濃度 と症状との関係を示すが、さまざまな検証の結果、二酸化炭素と低酸素が同時に 起こった場合、ほとんどの状況では、二酸化炭素の毒性が主な原因で意識消失や 死亡となると結論づけられる。           表1、二酸化炭素濃度と人に対する作用
二酸化炭素濃度         作用・規定
0,5%米国国立職業安全衛生研究所(NIOSH)、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)、による許容濃度
3%(同上による)短時間暴露許容濃度
4%米国国立職業安全衛生研究所(NIOSH)による脱出限界濃度
3〜5%めまい、呼吸困難、頭痛、錯乱、
9%・5分化学物質毒性登録(RTECS)による最小致死濃度
10%視覚障害、耳鳴り、ふるえ、1分で意識消失
10%・1分化学物質毒性登録(RTECS)による最小致死濃度
30%ほとんど同時に意識消失
     表2、一気圧における酸素濃度と症状との関係
酸素濃度 (VOL%)           症状
20,9一般大気酸素濃度
12〜13視力、情動・筋肉の細かい共同運動に障害
11判断力低下、無痛、筋肉の協同運動の著しい障害、
10意識消失と進行する中枢神経の抑制、
 例えば、8m3(2m×2m×2m)の小型エレベーター程度の密閉された空間に10人 が 4時間 閉じ込められると、酸素濃度は 13,4% 二酸化炭素濃度は 6 %となり、脱出限界濃度をはるかに超えてしまう。呼吸困難、頭痛、動悸、頻脈、 血圧上昇、吐き気、発汗、錯乱、だけでは済まない。  二酸化炭素は、地球温暖化原因化学物質として、1994年度の調査では、全国 平均値で 358ppm(0,0358%) 測定されている。特にここ 20〜 30 年間の上昇率は高い。地域的偏差を考えると、場所によっては二酸化炭素中 毒で障害が出るかもしれない値である。

3、事故例

 地下駐車場、地下室、船内、機関室、などの自動消化設備による事故は、1991 年以降の8年間だけでも判っているだけでも 5件 発生し、14人 が中毒、内 4人が死亡し、致死率が 30% 近いのが特徴である。二酸化炭素消化設備は最終 的なガス濃度が42%になるように設計されていて、人がこれを吸入すると瞬時に 意識消失し、転倒、死に至る。今すぐ二酸化炭素ガスを窒素ガスに変更すべきである。  窒素ガスの場合でも火災の時に二酸化窒素が発生する弊害はあるが、うっかり ミスによる中毒死を防ぐ意義は大きい。(大気の78.1パーセントは窒素ガスが占め ている)   1、1993年、郵政省の地下2階で空調設備の配管取替えのためコンクリート    壁に穴を開けていたところ、二酸化炭素消火設備の電気配線を損傷し二酸化炭    素が機械室に放出され、部屋に入った人が死亡した。   2、1993年、茨城県で、移動式二酸化炭素消火装置の作動状況点検のため    ピット内に二酸化炭素を放出、その後、このピット内に入った作業員が中毒死    した。   3、1995年、東京都内のビルで、深夜閉じ込められた会社員が外に出ようと、    誤って二酸化炭素消火設備のボタンを押し、二酸化炭素が噴出して意識を失っ    て倒れた。救出に駆けつけた警備員2人も中毒死した。   4、1998年、東京都内の変電所で天井のアスベスト撤去作業中に、消火設備    の配線を切断、二酸化炭素が充満して、7人が中毒にかかった。  ドライアイスの昇華による事故は、1991年以降の8年間に4件発生している。   1、1994年、機械の焼きつきを防ぐためドライアイスを購入してワゴン車で    帰る途中、紙に2重に包んであったドライアイス300kgが室温で昇華して    二酸化炭素中毒を起こし。車内で死亡しているのが発見された。販売店からたっ    た 3,2km の所であった。   2、アイスクリームとドライアイスを積んだ保冷車の冷凍庫内で死亡している人が    発見された。(1997年の報告書より)   3、1997年、コンテナ内の保冷庫にあるドライアイスを取りにコンテナ内に    入った人が1時間15分後うつ伏せに倒れ、心肺停止状態で発見された。甦生    には成功したが、5日目に死亡した。このときの酸素濃度は致死濃度ではなか    ったが二酸化炭素濃度は40%であった。    火山性ガスが原因の二酸化炭素中毒事故   1、地中由来の二酸化炭素の事故として有名なのは、1984年そして1986    年の、カメルーンのニオス湖からのガス噴出である。湖水の深層水に過飽和に    なっていた二酸化炭素が浅水層に移動して水圧が低下すると気泡になり、推定    1,2km3 が噴出、湖面上100m程の高さをうめつくし、空気の約1,5    倍の密度を持つガスは、蒸発とともにガス温度が低下して更に密度が上昇して    100% 近い二酸化炭素となって地形的に低い谷あいの村に流れ込み、19    84年には 37人 が死亡、1986年には住民 1746人 と家畜     8000頭 以上を死亡させた。ニオス村では住民 1200人の内助かった    のは 6人 のみの壊滅的な惨事であった。   2、白亜層では混在する頁岩(けつがん)中の硫化鉄の空気酸化により生じた硫酸    が石灰岩と作用し、二酸化炭素が蓄積している。気圧が低くなった時、この二酸    化炭素が深井戸などに噴出し、中毒事故の原因となる。   3、1997年、八甲田山で、レンジャー訓練中の自衛隊員12人が、青森市から     20km 離れた田代平の林の中の通称ガス穴で、次々に意識を失って倒れ、    3人が死亡した。火山性二酸化炭素は 15〜20% あった。     このガス穴で、かって、狐とたぬきが 1匹 づつ死んでいるのを見つけて    中に入ろうとした若い地質家が、ベテランの課長に 「危険だから入ってはい    けない」 と諌められ九死に一生を得たと言う記事が 「トンネルと地下」 に    掲載された。  その他の二酸化炭素事故   1、1992年、東京都内の病院で、酸素ボンベと二酸化炭素ボンベを間違えて、    手術後の患者が二酸化炭素を吸入し、死亡した。   2、1990年、東京都内の工場で、溶接用の二酸化炭素ボンベから二酸化炭素が    漏れているのを従業員が見つけ、バルブを閉めようとした人が、ガスに触れて    凍傷を負った。   3、1997年、神奈川県の二酸化炭素製造工場で、ガス圧縮機の故障で二酸化炭    素が大量にもれ、2人が中毒した。 ファイル作成 2002;08;08 ファイル更新 2004;01;26