■マンションリフォーム vol.2

マンションの壁は撤去できることをご存知ですか?

 vol.1ではマンションのリフォーム全般についてお話しましたので、ここではより詳しく実践的な事例をもとに話を進めたいと思います。その前に、マンションは廊下やベランダ、窓、隣家との境の壁などの共用部分と、住戸内の専有部分に分かれていることを覚えておきましょう。リフォームできるのは専有部分だけですからご注意ください。
 マンションのリフォームを希望される方には、大きく分けて2つのタイプがあるようです。
 ひとつめは、子どもが成長、独立するなど家族の形態が変わって部屋が狭くなった、または使わなくなった部屋ができた、などという場合です。誤解されている方も多いようですが、マンションでは、隣との境などの共用の壁、建物の構造を支えている壁以外、つまり、専有部分である室内にあり、構造とは関係ない間仕切り壁(ほとんどは軽量鉄骨を間に挟んだボード)は移動、撤去することができます。ですから、例えば子どもたちが使っていた3つの部屋を大きなワンルームにする、といったことも可能です。
 



 もうひとつ、最近増えてきたのが、最初からリフォームを前提に中古マンションを購入する、というタイプの方です。入居してから共用部分の修繕費を一括で払う場合がありますから、予算の立て方には注意が必要ですが、手頃な価格で自分の思いどおりの住まいをつくることのできる、とても賢い方法だと思います。前述したように、マンションの壁はほとんどが撤去できますし、逆に収納を造り付けることもできます。水まわりもパイプシャフトとの関係を見ながら、多少であれば移動させることが可能です。もちろん、壁の色や床の素材、建具の形状などは自由自在。ですから、中古のマンションでも自分の好みや生活に合わせてかなり大胆にリフォームできるのです。
 ところで、最近は半透明のスケルトン素材が流行しています。光が通るので圧迫感が少ないスケルトン素材は、全体の広さ自体は変更できないマンションを少しでも広く見せるには非常に有効です。リフォームの際にはこうした最新素材についても知識を得て、効果的に取り入れたいところです。
 




生活スタイルにぴったりと合ったリフォームを

 ではここで、具体的なリフォーム例を挙げてみましょう。マンションは4LDK、子どもが独立した後の夫婦が、今度は親と同居をすることになった、という設定で考えてみます。
 まず、子ども部屋として使っていた部屋が2つありましたが、子どもが里帰りするときや来客用として1つだけ残しました。部屋の一部を改造して書棚と主寝室側の物入れにつくり替え、さらに玄関側の物入れを大きくして収納力をアップしています。同時に、廊下にもう1つ物入れをつくりました。
 主寝室は隣接しているもう1つの部屋との間の壁を撤去して広げ、ウォークインクローゼットを造作。これでベッドを2つ置いてもゆとりが持てます。
 そして、リビングに面した和室を、老人室に充てることにしました。床の間付きの和室を洋室に替えた分、以前よりも広く使えるようになり、ベッドまわりのスペースに余裕があります。
 水まわりの位置は移動できませんでしたが、高齢の方が一人でもトイレや風呂を使いやすいよう、押し入れの一部を削って洗面脱衣室へ直接出入り可能にしました。介護が必要になった時も、洗濯物などを運んだりするのに動線が短く、使い勝手が良いと思います。
 ユニットバスも大きめサイズに変更。トイレも広めにつくって引き戸にし、将来、車椅子などを使われるようになった場合は、トイレと洗面所の間の壁を撤去できるようにしてあります。
 キッチンは、玄関からリビングへの廊下の壁を外してシンクの向きを変え、対面式にしたので、家事をしながらでもリビングに目配りできるようになりました。
 こうした例からもわかるように、マンションという多少の制約があっても、各家庭のスタイルに合わせて、かなりの部分をリフォームすることができるのです。
 




マンションには規制や条件も。まずは気軽に専門家に相談を

 マンション、一戸建てにかかわらず、自分の住まいに不満はあるが、いざリフォームを考えると、実際にどこをどうしたら良いのかわからない、という方は少なくないと思います。また、自由に間仕切りできるとはいっても、マンションだと共用部分である窓の位置やサイズは変えられませんから、「居室の窓の大きさは床面積の7分の1以上」など、建築基準法を守った範囲内で考えなくてはなりません。もちろん、予算の問題もあるでしょう。
 みなさんの様々な希望と条件を現実的なプランにまとめ、工務店に適切に伝えて実際の現場を監理する。こうして夢を現実の形へ変えていくのが、私たち建築士や建築コンサルタントのつとめです。ですから、お気軽にご相談いただきたいと思います。
 




新築の少ない冬期間はマンションのリフォームに最適

 相談される時は、お住まいの図面と、マンションの場合は管理規約をご用意ください。マンションでは、例えばフローリングの床は禁止など、規制のある場合がありますので。
 遠慮せずに予算を伝えることも大切です。その中で施工の優先順位を考えていけば良いのです。
 私にご相談くださる場合は、これらの条件をお聞きした上で、その場でスケッチを描きながらプランをお出ししていきますから、具体的な案を目で見て考えることができます。
 マンションは冬でも施工できますし、一般的にそれほど日数もかかりません。壁を撤去するケースでも部分ごとに作業しますから、住んだままでの施工が可能です。戸建ての建設が少ない冬期間は腕の良い職人さんも時間に余裕があるので、マンションのリフォームにはちょうど良い時期なのです。
 豊かな暮らしをするためには、どうしたら良いのか? 様々な条件の中で何ができるのか、何ができないのか?  最善の方法を探すために、一緒に考えていきましょう。
 
vol.1


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