月譚「遠景」04/02/10
 遠景へようこそ

今日のはなし

さて、桂藤兵衛さんの「学士会寄席」のお知らせです。
ご案内は、「学士会報」、http://www.gakushikai.or.jp 、さらには藤兵衛さんのビラなどが、本来ですが、せっかく早めの連絡をもらいましたので、「会誌」発行に先行して、少々おひろめを買ってでた次第です。御用とおいそぎでない向きは、春宵の一刻を落語でお過ごしあってはいかがでしょう。

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       学士会館で落語会、 
     ○学士会寄席   3月18日(木) 午後 7時笑い始め 
                              (6時半 開場)

        桂 藤兵衛:  花見の仇討 他

        助演  初音家 左橋


     ○ 会場:学士会館神田本館1階
           レセプションホール


       ■お申し込み・お問い合わせ
         学士会企画係  URL:http://www.gakushikai.or.jp
         Tel 03(3292)5955(西川・黒淵 平日9時〜5時)
         Fax 03(3292)2779 
     ○ 木戸銭: 2,000円

     <学士会館へのアクセス>
     地下鉄 神保町駅A9出口  徒歩1分
             都営三田線・新宿線・営団半蔵門線
          竹橋駅  東西線  徒歩5分

以上が案内ビラの要約です。学士会のページを見ますと、次のような『惹句』が載っています。淡々としていて、これで十分かはジャッジしかねますが、拝借してみますと、

 “学士会館で落語会”の第5弾に藤兵衛師匠が再び登場!
3月開催に合わせた季節感溢れる演目を、藤兵衛師匠が“勢”よくきめてくれます。助演は真打の初音家左橋(はつねやさきょう)さん。一昨年、芸術祭で賞をもらった“小粋”な芸を学士会寄席で初披露。2人の共演・競演(?)をご期待ください!

とのこと。
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  毎度ながら 桂藤兵衛(かつら・とうべえ)さんの、プロフィール概要です。
 ◆昭和27年1月13日生まれ、東京都出身
 ◆昭和44年6月、八代目林家正蔵(最晩年に彦六に改名、昭和57年没)に入門。
 ◆昭和59年9月、真打ち昇進。三代目桂藤兵衛を襲名。
 ◆落語協会所属
  昭和62年から千石、神田などで、「藤兵衛会」(古典落語を聴く会)を続け、
  根強い藤兵衛ファンを持つ。
  都内、全国各地の落語会でもあくまでも古典にこだわり、「藤兵衛会」だけでも
  約130の噺を披露している (「藤兵衛会10年」1996年のパンフから)。


かたや、 初音家 左橋 (はつねや・さきょう)さんは、落語協会のウェブによると、
昭和31年1月 4日生まれ、川崎市出身、本名 鈴木 宏和 
◆芸暦
昭和54年 6月 故十代目金原亭馬生に入門
昭和55年 6月 金原亭小駒として前座
昭和57年10月 馬生没後伯楽門下へ
昭和58年 3月 二つ目昇進
平成 7年 3月 小駒改め初代「初音家左橋」で真打昇進
落語協会所属、
出囃子 春はうれしや  紋 梅の花



 『春秋』のひそみにならえば、

イラクの戦いを始める根拠のひとつであった、「大量破壊兵器に関する情報」について、いろいろもめています。かんべえさんの『溜池通信』#220号(2月7日版)では、<今週の”The Economist”誌から> で 「フセインの武器という幻影」January 31st, 2004 P.13の、の抄訳と、レジュメがありました。

その、レジュメ:
”* イラクの大量破壊兵器は実在しなかった。ブッシュとブレアはもちろん、イラク戦争を支持した”The Economist”誌も苦しい立場ですが、「誇張はあっても嘘はなかった」。”

アザヤカ。「誇張はあっても嘘はなかった」、まことに見事な「突き放し」のきまり手です。
この記事要旨を、引用してみます
ーー引用です
 昨年3月、戦争開始に際し、ブッシュとブレアは世界に向かってイラクが化学生物兵器と長距離ミサイルを有し、核兵器の製造を目指していると述べた。
米英やその他の国民、そして本誌も戦争を支持した。しかし侵攻から10ヶ月、数百人のイラク元高官の尋問後も、武器は発見されない。米国が派遣した査察官デイビッド・ケイでさえ、武器は見つからず、今後もそうだろうと言う。そして先週辞任した後、イラクは90年代に廃棄したのだろうと述べた。

 単に面目がつぶれるだけでは済まない。あの戦争は間違った目論見のもとで戦われたのか。何よりも米国大統領と英国首相は嘘をついていたのか。今のところ答えはノーだ。

ブッシュとブレアが疑っていた形跡はない。当時の証拠は確信を深めるばかりであった。

 2002年10月、米国の諜報機関はイラクが化学生物兵器を有し、10年以内に核兵器を持てると結論した。英国の諜報委員会も同様な結論に達した。BBC放送は政府に作為があったと報じたが、これは先週、ハットン卿の委員会に否定されたところである。スパイたちは、政治家におもねった報告をしたのかもしれない。

だが彼らが結論に達したのは、ブッシュ当選や9・11より古いクリントン時代だった。しかも諜報だけではなく、国連査察もイラクの潔白を示さなかった。何よりフセイン自身が疑惑の根底にあった。隠すことがないのなら、武装解除したと示して経済制裁を終わらせれば、何十億ドルも無駄にせずに良かったのだ。

 要するに、イラクが安保理に逆らってまで武器に執着したことが決定的だった。戦争に反対したシラクでさえ、イラクは多分持っているだろうと言っていた。本誌はさらに鈍かった。「よほどの馬鹿か悪党以外は」フセインの無実など信じないだろうと書いたほどである。

 それゆえブッシュとブレアも、イラクが武器を持つと信じたらしい。彼らがまったく間違っていたとすれば、諜報による巨大な失敗があったことは間違いない。諜報はいつも決定的ではあり得ないが、米英は包括的な失敗を調査して次に備える必要がある。

 政治家たちも逃げられない。ブッシュとブレアは、証拠を国民に示す際に歪曲しなかっただろうか。ブッシュが強調した、イラクとアルカイダの関連は存在しないようだ。ブレアは、45分以内に英国が化学兵器の攻撃対象になるという報道を否定しなかった。

 これらの誇張は必要ではなかった。戦争の理由はイラクの禁止兵器保持であり、イラクは戦前に廃棄していたらしい。だが戦前の決断はその当時に得られた情報を基にしている。イラクは国連の命令に逆らって真実をぼかしていた。戦争にはそれで十分ではなかったか。
ーーここまで

諜報活動に失敗があったのかも知れない、そうなら政治家はその責任からは逃げられない、と言いつつも、終わりのマトメの三行ほどで繰り返したように、それは開戦の理由のメイン部分ではないと、断定しその線に沿うみずからの論旨に誤りはないという、主張になっているわけです。

 選挙の年、

お馴染みの、『溜池通信』#219(2004.1.30)の特集は、「台湾総統選挙と公民投票」ですが、”2004年は選挙サイクルの年”として、われわれに恐らく影響度の高い方の選挙について日程表を掲げています。
以下に、転載したのがそれですが、なるほどオリンピックの年は、選挙がズラリと並びます。

〇2004年の主な選挙日程

2月20日イラン総選挙
3月2日米国・スーパーチューズデー

3月14日ロシア大統領選挙
3月20日台湾総統選挙
4月8日アルジェリア大統領選挙 ← ここが増えた、
4月15日韓国総選挙

5月10日フィリピン大統領選挙
6月中イラク暫定政権発足? アフガニスタン総選挙
7月5日インドネシア大統領選挙

7月11日(?) 参議院選挙
7月26〜29日米国・民主党全国大会(ボストン)
(8月13〜29日アテネ五輪)

8月30〜9月2日米国・共和党全国大会(ニューヨーク)
11月2日米国大統領選挙一般投票

かんべえ氏は、極論ながらと、前置きしてこういっています(プーチン氏がでる、ロシアの選挙はデキレースみたいなもので、他の人のメがないから、ハナから除外と)。
ーー引用です
 極論すれば、2004年に予定されている選挙のうち、米国と台湾以外はどちらが勝っても世界の大勢に影響がなさそうなものばかりである。その点、台湾の選挙は争点が明確であり、なおかつ優劣が不明という、面白い選挙の典型であるといっていい。
ーーここまで

台湾総統選挙は、同時に「公民投票」というーーレファレンダム(国民投票とか住民投票とかが、和訳ですが、今回、陳水扁総統は穏和にも「公民」投票と名付けた)ーー二つの質問についての回答をもとめる投票を同時に行うことをきめています(2004.1.16)。

さらに、本省人代表の陳総統側と対する外省人系の国民党などを主体とする側とは、おそらく実力伯仲(今までのセンサスでは、陳総統側やや低めの数字もあるが)し、、勝敗は予断を許さない状況にあるといいます。この選挙の結果が、将来、アジア各国特に日本に大きな影響を持つことは、明らかなので、目をみひらいてよく見る必要があると、かんべえ氏は説いています。

小さい方では、アルジェリアも大統領選挙の日程が、はいって来ました(読売、2.8付け)。これも、流血その他があっても、ブーテフリカ現大統領が再選されるという意味では無風選挙かも知れません。



  台湾総統選挙近づく、

3月20日、台湾、総統選挙

”選挙の年”、にあったように、台湾では総統選挙が3月20日に行われますが、これが天下分け目の争いであることは、私どもも最近まで存じませんでした。『溜池通信』#219(前述)で、かんべえ氏はこの実態を、たいへん鮮やかに整理して、見せてくれました。また台湾在住の「らくちん」氏は、一月以降、選挙を前にした、台湾の様子をわかりやすく伝えています。一方、『諸君!』は2004.3月号に、李登輝、 上坂冬子 の対談 『台湾の興廃はこの選挙にあり』を載せて、この選挙と公民投票の意義について、冷静に意味するところを伝えようとしています。

では、まずかんべえ氏の描く、総統選挙の今と問題点を聞きましょう

ーー引用です
独立支持派と統一指示派の衝突

 台湾の総統選挙は、米国流に正副の総統候補をセットで選択する。現職である陳水扁=呂秀蓮ペアに対し、挑戦するのは連戦(国民党)=宋楚瑜(親民党)ペアである。そして、2000年まで12年にわたって総統を務めた李登輝氏は、 現在は国民党を離れて台湾団結連盟を率いており、陳水扁の側に立っている

   色分け    グリーン(独立支持):本省人  ブルー(統一支持):外省人
    政党   民進党   台湾団結連盟   国民党     親民党  
    党首   陳水扁   黄主文    連戦   宋楚瑜
 2001年立法院 
   得票率
  36.57%    8.50%   31.28%   20.34%
  議席数 (*)     88     13     66     44
 2000年総統選
    得票率
  39.30%    ーー   23.10%   36.84%

(*)立法院(台湾の議会)の議席は、ほかに中国との即時統一を主張する
「新党」が1議席、以下、無所属11、欠員2、合計225議席


 今回の台湾総統選挙は、「台湾はもはや中国ではない」という陳水扁(民進党)と、あくまで「ひとつの中国」の立場に立って、将来的には大陸中国との統合も視野に入れた連戦(国民党)という対立である。
ーーここまで
(註)台湾団結連盟(台連党)党首は李登輝氏と、あったが、
 『諸君!』の前出、李登輝・上坂対談によると、黄主文氏とあるので、訂正。
 
調査が示す「現状維持」の願望

だが、この対立が、票になるとき、伯仲化するのは、なぜなのか
人口比で言ったら、圧倒的な本省人サイドが、陳扁コンビを勝利させるのに十分だと、日本人は思いそうだが、実態はそうではなく、本省人総統が成立したのが、2000年を嚆矢とするのだから、考えると外省系の国民党は、なんともわが国の自民党政権のような歴史を樹ててきたようなものらしい。

ーーさらに引用です
これがもし、単純に台湾生まれの本省人と、大陸から渡ってきた外省人の対立ということであれば、話はそれほど難しくない。両者の人口比率はおよそ 9対1 であり、独立派が圧倒的多数を占めるだろう。しかしこの問題を民意に問いかけた場合、一番多いのは「現状維持」という答えである。台湾では、行政院大陸委員会が継続して世論調査を行なっており、その最新結果(2003年5月)は以下の通りである。

○統一か独立か

 現状維持、後で決定 35.8%
 永遠に現状維持    16.8%
 現状維持、後で独立 15.9%
 現状維持、後で統一 13.7%
 すぐに独立         5.7%
 すぐに統一        0.9%

 つまり一定の割合で「独立派」や「統一派」はいるものの、2人に1人は今のままを望んでいる。「今のままでも独立しているのと同じ」だし、「中国を刺激したくない」といった現実的な判断があるのだろう。ちなみに「中国が提案する一国二制度に賛成か」と聞くと、1割が賛成で7割が反対であり、積極的に大陸に吸収されたいという声は少数である。

 「現状維持」が多くなる最大の理由は、おそらく台湾におけるアイデンティティの複雑さにある。「あなたは台湾人ですか、中国人ですか?」という問いかけに対し、調査機関によってばらつきが出てしまうのだが、「台湾人」(25.0〜38.2%)、「台湾人で中国人」(43.5〜63.2%)、「中国人」(2.7〜15.7%)、「わからない」(2.1〜9.0%)となってしまう。

これだけアンビバレントな状態では、独立か統一かを決定することは躊躇せざるを得ない。
たとえば同じ人間でも、「中国共産党はけしからん」と腹を立てることもあれば、台北にある故宮博物館の文物に中華文明の誇りを感じることだってあるだろう。
 しかるに現実は、誰がどう見ても台湾は独立した国家である。この点はいわば、

わが国における「自衛隊は軍隊ではない」というフィクションと似ているような気がする。
ーーここまで

なかなか、よそ様の事情はよく伝わっていないものです。
どうも、2000年の総統選挙の大接戦を、引きずったままでの選挙戦になっているのですね。かたや二連勝で、『すでに独立国』の実態を固めたい扁蓮ペア、対して連敗すればズルズル退潮という瀬戸際の連宋ペアですが、ここ4年間陳総統は、あまり意気あがるような行政的成功はおさめていない、そのことで、支持率があがらない状況がある、ということのようです。

台湾の「公民」投票、

昨年12月9日、米ブッシュ大統領が、中国温家宝首相と会談したおり、台湾が住民投票を行うことに反対の意向を示したとされています。日本政府も「慎重な対応」を求めたと報じられました(2004.1.1読売)。
この住民投票について、「諸君!」上坂対談では、李登輝前総統からその手続きや、成り立ちの意味を聞き出していますが、「らくちん」さんの台湾情報に、読みやすい文章がありますので、それを、一寸。
ーー(らくちん)さん(1月3日)からの、引用です
○ 陳水扁総統は、03年9月には、「2006年に新憲法制定の住民投票、08年に新憲法の実施を目指す。」と表明します。これには、中国は猛然と反対し、 野党も嫌がりました。しかし、新憲法制定案が世論の一定の支持を受けると、 野党は、同様の案を出して対抗したりしています。

○そうした中で、野党は、2003.11月に住民投票法を立法院(=立法議会)で可決します。内容は、

1) 台湾全土で実施する住民投票の議題は、法律の再審議などに限る
2) 政府は立法化と関係なく民意を問う住民投票を行ってはならない
3) 行政院は住民投票の発動権を持たない
4) 国家主権が外部勢力によって脅かされる場合、総統が「防御のための住民投票」を行う

というもので、実質上、住民投票の実施権限を立法院がコントロールしようとするものです。この法律をみて、与党民進党の議員からも「これで、住民投票はできない。」というコメントがでた程です。

○ これに対して、陳水扁総統は、ほとんど抜け道を手繰り寄せるように、上記 4)の総統権限に基づき、「中国が軍事の拡張をしている現状では、「防御的な住民投票」の発動条件を満たす」としました。そして、04年3月の総統選挙と同時に「中国の台湾への武力行使反対」の住民投票を予定しています。

 このあたり、陳水扁総統は、行政能力については、疑問符が投げかけられていますが、抵抗運動家としての資質は、十分感じることができます。陳水扁総統は、11月に立法院で可決された「住民投票法」を12月31日に署名しました。
 この住民投票法についても、中国は、独立につながるものとして、猛然と非難しています。
ーーここまで

で、すりぬけるような 4)の総統権限による、「防御のための住民投票」の質問内容が次のものです。

その一、
「台湾人民は、台湾海峡問題の平和的解決の立場を堅持しています。もし中共が台湾に照準を合わせたミサイルを撤去せず、台湾に対する武力使用を放棄しない場合、あなたは政府がミサイル防衛設備を追加購入し、台湾が自主防衛能力を強化することに賛成しますか反対しますか」

その二、
「あなたは、政府が中共と交渉を進め、台湾海峡両岸の平和と安定のための相互連動の構造を確立し、両岸のコンセンサスと人民の福祉を追求することに賛成しますか反対しますか」

この設問に「反対」という人は多くはないでしょうから、ある意味では儀式的な投票になります。が、民進党としてはこれで実績を作り、将来の新憲法制定(独立)や国名の変更=正名運動とよんでいる(中華民国から台湾へ)につなげたいと考えているようです。

住民投票の効果について、「かんべえ」氏はこう見ます
ーー引用です
 さらにいえば、これで中国が「手出し」をしてくるのを待つという打算も働いているだろう。1996年、2000年と台湾の総統選挙のたびに、中国はミサイルを撃ち込んだり、「言葉の戦争」を仕掛けたりした。そのたびに台湾人は反発し、中国が望まない結果を選択してきた。そこで中国は自重し、今回はブッシュ大統領の口から台湾に自制を求めるなど、慎重な姿勢に終始している。「学習効果」があるわけだが、いつまで忍耐が続くかは分からない。
ーーここまで

たしかに、中国では軍、国内強硬派、世論、に配慮が必要となって、そのまま座視とは行かない事情もあるため、新聞によると(読売、2004.2.7)”強硬派からは、陳総統再選が有力となれば、「台湾海峡封鎖」を選挙直前に宣言すべきだとの声も出始めた。関係筋によると、中国指導部は、3月5日開会の、全人代で、住民投票反対決議を採択することを検討している” と、報じていますネ。

独立か、統一か、が意味するもの、

結局、3月20日の総統選挙+公民選挙は、台湾の有権者に、「独立か、統一か」の択一を要求するものになります。
さらにいえば、民意のあるところが「現状維持」であるとしても、「かんべえ」氏が言うように、「現状維持」政策を永久に続けられないことも事実でしょう。それはジリ貧の道になるのが常ですから。

そこで、かんべえ氏はこう今度の選挙を意義づけます。
ーー引用です
 台湾が正式に国交を結んでいる国は、現在27カ国に過ぎない。・・・・国際機関に加盟できず、IMFの支援が得られないのはさておき、昨年、SARSが流行して37人が死亡した際にもWHOの助力は得られなかった。そして東アジアにおける昨今のFTAブームにおいても、台湾は明かに孤立している。仮に「ASEAN+3」のような形で自由貿易圏ができた日には、東アジアにおける孤児になってしまう。

 そしてこの間、中国経済は急速な発展を遂げ、台湾からはヒトや資本や技術がどんどん大陸に向かっている。台湾は表向き「三通」を制限しているというものの、香港やケイマン諸島経由で大規模な中国向け直接投資が行なわれているのが現状だ。このまま行くと、台湾経済はいずれ大陸側に呑み込まれてしまうかもしれない。かつて台湾から見てあこがれの存在だった香港は、一国二制度の下で着実に衰退に向かっている。自分たちもそうなるかもしれない――といった危機意識が、台湾の「独立派」を突き動かしている。

 こうした客観状況を考えると、「とにかく現状維持」とばかりも言っていられない。そして陳水扁総統の「独立路線」が否定された場合、国民党政権下の台湾は「一国二制度」か「連邦方式」かはさておいて、中長期的には中国との統一に向かうのであろう。

 となると、来たる台湾総統選挙がもたらすインパクトは非常に大きい。台湾が独立への意思を明確にした場合、これを許すまいとする中国との衝突は不可避となる。中台海峡の対立は、イラクや北朝鮮にも匹敵するような地政学上のリスクになりかねない。 そして反対に「ひとつの中国」ができた場合は、安全保障面でも経済面でも日本にとっては無視できない影響が生じる。

 安全保障面ではシーレーン問題がある。台湾周辺が中国の「内海」になった場合、日本の海上輸送路が中国にとり込まれることになる。さらには台湾に中国の潜水艦基地ができ、太平洋への出口ができるようなら、日本近海の安全保障環境は根本から変わってしまう。極論すれば、米第七艦隊による日本の防衛という構想を見直さなければならなくなるだろう。

 経済面では、中国の旺盛な生産力と消費力に、台湾の資本や技術が結びつくことを意味する。現在の中国経済は、日本と相互補完的な関係といっていいが、これが台湾を呑み込んだ場合には、あらゆる面で強力なライバルとなることは間違いないだろう。とくにIT産業においては、「ひとつの中国」が文字通り世界の先端地域になるはずである。とにかく、世界経済の地図が塗り変わることは覚悟しておく必要があるだろう。
ーーここまで

台湾資本の中国への流れは、李登輝氏も重くみているようで、”就任演説で、・・・あれで台湾資本が大陸にワッと流れてしまった。私の総統時代には二、三百億ドルくらいだったのが、今では千五百億ドルほど大陸に投資しているはずです”、ということです、大金です。

さて、台湾では李登輝氏が中心になって、2月28日に、「二二八、百万人デモ」が計画されています。
内容は、以下のようなもの。

ーー(『諸君!』2004.3月号から)引用です
李 北は基隆の和平島から、南は昇東市の建国路まで、台湾を縦に人間の鎖で結ぶ「百万人手護台湾」という運動を進めています。手護は守護に通じます。

上坂 和平島から建国路までって、お誂えむきの名前の土地があるもんですねぇ。こりゃ出来すぎだ。

 李 わが陣営は知恵者に事欠かないからね。皆で手と手をつないで団結を示すんですよ。一方から陳総統、他方から私がヘリコプターに乗って空から応援しながら、テレピ中継で全国に呼びかける。呼びかけは「セイ・ノー・トゥー・チャイナ」「台湾は台湾人のものだ」ですよ。それで台中かどこかで降りて、今回の総統選挙が台湾にとっていかに重要か説明して、陳総統をサポートしようと呼びかける演説をする。実行するのは二月二十八日の二時二十八分。どう?

上坂 スゴイ! 二二八の日の二時二十八分ですって! その意味はすぐわかりました
ーーここまで

註、(「二二八」は1947年に大陸から渡ってきた国民党軍が本省人を粛清した悲劇の日である。3万人が死亡したといわれ、従来は存在を語ること事態がタブーとされていた)

これが、前哨戦として、そのなりゆきが当面の焦点となるものでしょう。いかが、あいなりまするか、


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