【メタボリック症候群】

中高年がかかりやすい生活習慣病である「糖尿病」「高血圧症」「高脂血症」は、それぞれ単独でも厄介な病気ですが、これらの病気が重複すると動脈硬化を促進し、さらには致命的な心筋梗塞や脳梗塞などを起こしやすいことが分かっています。

最近、これらの病気を起こすおおもとに、内臓脂肪型肥満が上げられます。

そして、こうしたリスクが重なって存在する病態を『メタボリックシンドローム』と呼んでいます。


最近注目されているメタボリックシンドロームとは、コレステロール値や血圧、血糖など、個々の検査データはそれほど悪くなくても、健康診断的には要注意の項目が複数ある状態を指します。
日本人一般の食事の欧米化と運動不足による内蔵脂肪の蓄積からみると、中年世代以降に複数の危険因子が集中し易く、しかも動脈硬化が進行したり心筋梗塞や脳卒中などの病気が発生してくる症候群ということになります。
2005年4月8日、日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本循環器学会、日本腎臓病学会、日本血栓止血学会、日本内科学会など8学会が合同で、「メタボリックシンドローム」の診断基準を公表しました。
以前より、世界保健機関(WHO)や米国コレステロール教育プログラム(NCEP)が作成したメタボリックシンドロームの診断基準はありましたが、日本における診断基準が出されたわけです。
今回の診断基準では、日本人を対象としたウエスト周囲径の基準が明確に出されたことが注目されます。立位で軽く息を吐いた状態の時の、へその高さでのウエスト周囲を測定したとき、男性では85cm以上、女性では90cm以上を内蔵脂肪蓄積があると判断されます。
これはメタボリックシンドローム状態の指標であり、医学的には内蔵脂肪蓄積があって、脂質異常(中性脂肪値が150mg/dl以上あるいは、HDLコレステロール値が40mg/dl未満)、血圧異常(130/85mmHg以上)、高血糖(空腹時血糖が110mg/dl以上)の3項目のうち2項目以上が該当すればメタボリックシンドロームと判断されます。
「メタボリックシンドローム」では、成人病といわれる「糖尿病」「高血圧症」「高脂血症」などのいわゆる生活習慣病を併せ持つと、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険がより高まることが指摘されるわけです。
肥満の中でも、今回の診断基準では内臓脂肪の蓄積をメタボリックシンドロームの重要なカギとなる存在と位置づけました。
(注:中性脂肪とHDLコレステロールの数値は、日本動脈硬化学会の、高脂血症の診断基準を満たしています。一方、血圧の数値は、高血圧と診断される、収縮期血圧≧140mmHg、拡張期血圧≧90mmHgではなく、いずれも「正常高値血圧」の下限値に設定されました。空腹時血糖値も、糖尿病域(≧126mg/dL)ではなく、正常域(<110mg/dL)を超えた数値に設定されている)


Q1:メタボリック・シンドローム(代謝症候群)はどのようなものですか?

A1:メタボリック・シンドロームは代謝症候群、シンドロームX(Reaven, 1988)、死の四重奏(Kaplan, 1989)、インスリン抵抗性症候群(De Fronzo, 1991)、内臓脂肪症候群とも呼ばれる複合生活習慣病です。血糖値や血圧がやや高く、お腹が出てきた人のことをいいます。メタボリック・シンドロームは、動脈硬化の危険因子である「肥満」、「高血圧」、「高血糖」、「高脂血症」を重複して発症していることがあります。この人達は心筋梗塞や脳梗塞になり易いのです。肥満に関しては、上半身肥満のうち内臓脂肪型肥満です。また、高インスリン血症もみられます。日本の企業労働者12万人の調査では、軽症であっても「肥満」、「高血圧」、「高血糖」、「高トリグリセリド(中性脂肪)血症」、または「高コレステロール血症」の危険因子を1つ持つ人は心臓病の発症リスクが5倍、2つ持つ人は10倍、3〜4つ併せ持つ人ではなんと31倍にもなることがわかりました。
 厚生労働省の調査では、高血圧患者数は3,900万人、高脂血症は2,200万人、糖尿病(予備軍を含め)は1,620万人、肥満症は468万人と言われております。これらの患者は年々増加しております。

Q2:メタボリック・シンドロームの診断基準はどのようになっていますか?

A2:米国高脂血症治療ガイドラインとWHOによる診断基準の2種類があります。

 米国高脂血症治療ガイドライン(ATPIII:Adult Treatment Panel III, NCEP National Cholesterol Education Program) (我国には未だありません)では、下記5項目のうち3項目が該当するとメタボリック・シンドロームと診断ができます。
 1)ウエスト(腹囲)が男性で102cm以上(日本人では85cm以上)、女性で88cm以上(日本人では90cm以上)
 2)中性脂肪が150mg/dl以上
 3)HDLコレステロールが男性で40mg/dl未満、女性で50mg/dl未満
 4)血圧が最大血圧で130mmHg以上または最小血圧で85mmHg以上
 5)空腹時血糖値が110mg/dl以上

 WHOによる診断基準は下記のようになります。
高インスリン血症(非糖尿病患者の上位25%)または空腹時血糖110mg/dl以上に加え、以下のうちの2つ以上をもつものです。
 1)内臓肥満ウエスト/ヒップ比>0.9(男性)、>0.85 (女性)またはBMI30以上または腹囲94cm以上
 2)脂質代謝異常:中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロール35mg/dl未満(男性)、39mg/dl未満(女性)
 3)高血圧140/90mmHg以上か降圧剤内服中
 4)マイクロアルブミン尿症(尿中アルブミン排泄率20μg/min以上か尿中アルブミン/クレアチニン比30mg/g.Cr以上)

Q3:メタボリック・シンドロームではどのようなことを注意すればよいですか?

A3:摂取カロリーを抑制した食事を取り、三食同じ時間に規則正しく食事をとりましょう。体重減少のために、中等度の運動を毎日30分以上(最低10分以上)行いましょう。ウエスト(腹囲)、中性脂肪、血圧、血糖値を減らし、禁煙するよう努力しましょう。