腎経の解説

腎経
腎足の少陰の脈は.小指の下に起こり.邪(ななめ)に@足心(そくしん)に走り.然谷
(ねんこく)の下に出で.内踝(ないか)のA後(しりえ)を循(めぐり).別れてB跟中
(こんちゅう)に出る.以てCたん内に上り.D膕(かく)の内廉(ないれん)に出(いず).
股内(こない)の後廉(こうれん)に上り.脊(せぼね)を貫(つらぬ)き.腎に屬(ぞく)し
.膀胱を絡(まとう).その直者(すぐなるもの)は.腎從(より)上りて肝膈(かんかく)
を貫(つらぬ)き.肺中(はいちゅう)に入りて.E喉(こう)ろうを循(めぐり).舌本(ぜつ
ほん)を挾(はさむ).
その支者(しなるもの)は.肺從(より)出でて心を絡(まとい).胸中(きょうちゅう)に
注ぐ.まる7是動(これどうずれば).則(すなわち)病(やまい)G飢(うえて)
不欲食(しょくをほっせず).H面(めん)漆柴(しっし)の如し.Iがい唾(だ)
すれば則ち血有り.J喝喝(かつかつ)として喘(ぜん)し.坐(ざ)してK起
(たたん)と欲(ほっすれ)ば.目硯硯(こうこう)として無所見(みるところなき)が
如し.L心(しん)懸(かかる如く).飢(うえたる)状(じょう)の若(ごとく).氣(き)不足
(ふそくすれば)則ちM善(よく)恐(おそれ).心(こころ)タタ(てきてき)として人の將(まさ)に
捕之(これをとらえんと)するが如し.是(これ)をN骨厥(こつけつ)と爲(なす).是(これ)F腎を主
(しゅ)として生じる所の病は.O口熱(ねっし).舌(した)乾(かわき).咽(のど)腫(はれ).上氣
(じょうき)し.?(のど)乾き及(および)痛(いたみ).煩心(はんしん)心痛(しんつう).P黄疸(
おうだん).腸?(ちょうへき).脊(せぼね)股内(こない)の後廉痛み.痿厥(いけつ)し臥(ふす)
こと嗜(たしなみ).足下(そっか)熱(ねつ)して痛む.此(その)諸病(しょびょう)を爲(なし).
盛(さかん)なれば則ち寫之(これをしゃし).虚すれば則ち補之(これをおぎない).熱すれば則ち疾之
(これをはやめ).寒(ひゆ)れば則ち留之(これをとどめ).陷下(かんげ)すれば則ち灸之(これを
きゅうし).不盛(さかんならず)不虚(きょせざるは).經(けい)を以って取之(これをとる).
Q灸すれば則ち強(しいて)生肉(しょうにく)を食し.帶(おび)を緩(ゆるめ)髮(かみ)を被(ひらき)
.R大杖(たいじょう)重履(じゅうり)して歩む.
以下略

解説
 人の成長と老化及び生殖は腎の気が関与しています。
腎については素問「上古天真論第一」に
詳細が述べられています。詳しくは
ここをクリックして下さい。

 腎の特徴
1.素問「靈蘭祕典論第八」は」腎は作強(さっきょう)の官(かん).
伎巧(ぎこう)出ず。」と述べています。
作強とは体を硬くするの意味。幼児の筋は始め柔らかく成長に従い堅くなり、老化に従い固
くなる(繊維化→石灰化)。
伎は技芸。伎巧は技芸が巧み。種々の働きを言う。陰精一滴結ぶ時は人身の形出が如し。緻密な
作業をすることが出来る。
2.腎は志を司る。志は体を動かそうとする行為のこと。人が体を動かそうとする気が有る時、
動かす力は志が有する。つまり運動神経系を意味する。肝は循環器系であり肺は呼吸器系で
ある如し。
従って腎虚は精がなくなり気力が失われるため、仕事を辞めたくなったり、目の前の物でも動かす
のがおっくうになる。腎を整えれば、再び活力が出てやる気が出る。
3.腎は骨を司る。骨髄を生じ、脳に通じ、五臓六腑の精を蔵する。
腎気が衰えると、骨髄の発育に影響して骨が弱くなり、骨粗鬆症(こつそしょうしょうになる。
中年では骨密度が低くなる。重力に逆らって歩くことが解決方である。.上の記述のように「大杖重履して歩む」と有る。
又脳に通じているため、腎虚が進むと脳細胞に影響し死滅して行きます。老人の認知症が加速度的
に進むのは腎気の減少のせいです。
4.水の臓であるから、体を冷やす。子供の夜尿症や夜間尿は腎気の不足による。これは
腎虚の治療で処理出来る。
腎虚になると脳に影響して、めまい・耳鳴り・倦怠感・記憶の減退・健忘・腰がだるい・腰痛・
骨が痛む・四肢の冷え・ほてり(ほてりは更に冷えがた結果の自律神経反射)

(注)
@足心:湧泉穴
ここに刺鍼は臓腑を破る。片マヒには有効
ここの然谷は経穴ではなく、舟状骨(しゅうじょうこつのこと。
) A照海(しょうかい)穴。これは奇経の一つの陰きょう脈で、婦人科疾患に良い。
B大鐘(だいしょう)と水泉(すいせん)穴を巡る。経脈は踵の中に入っているので、腎虚に
なると踵が痛む。
Cたん内:中国フォントのため漢字に変換出来ません。脹脛(ふくらはぎ)
D膕の内廉:膕は膝の後方の曲がるところで膝の窪みを言う。その内廉は陰谷(いんこく)穴。
 ここから半腱様筋と半膜様筋との間を上り仙骨の先端に入り上って腎と膀胱に入る。腎から
背骨の中を上りながら肝臓と横隔膜を貫き肺中に入る。腹部の表面についての記述はない。従って
腹部にある腎経の穴に、鍼を深く入れても効果はない。
E喉ろうを循り舌本:ろうは中国フォント。腎経は更に肺中から喉にゆき舌本を挟んで
終わる。つまり腎虚になると舌骨下筋が衰えて弛んで来ます。ふけた感じになります。腎虚の
治療でスッキリとなります。
又扁桃(へんとう:口蓋弓の[こうがいきゅう]中間にある陥没にある口蓋扁桃、舌根にある
舌[ぜつ]扁桃、咽頭円蓋[いんとうえんがい]にある咽頭扁桃、耳管]じかん]内口周辺
粘膜下の耳管扁桃)は、口腔、鼻孔から吸引した異物(主に細菌)が咽頭に到る前に、主と
して顆粒球(白血球の一つ)の免疫作用が働き細菌を捕獲した後死亡することにより細菌が体内に
侵入するのを防御している。腎虚になると免疫力が下がり扁桃に炎症が起こる。この時然谷(栄火穴)
に治療をして、熱を下にさげることにより炎症が治まる。
F是動病(ぜどうびょう)・所生病(しょせいびょう)
肺経を参照してください。
G飢不欲食:空腹だが、食後気持が悪くなるので食べられない。
腎虚はよく胃経が緊張します。従って腹がすいてしかたない。しかし腎が虚し同時に脾も虚
しているため。食物を受け入れることが出来ない。
また小寺敏子先生は異種蛋白のせいだと言われます。つまり牛肉豚肉鶏肉魚肉豆類など、
何種類もの異なる蛋白質を同時に摂取すると気持が悪くなりやすい。
H面漆柴:顔が黒い漆を塗ったような感じ。黒くなる原因は二つある。
一つは目の下の鬱血によるくま。腎虚の治療で解消する。
二つ目は煤が付いたようなしみ。酒焼け。酒を飲みすぎると脾が障害され、後に腎に及ぶ。この時
既に肝臓に影響しているが、治療は腎虚でする。
Iがい唾則血有:咳をすると唾に血が混じる。枯れて痰がないのに、無理やり出そうとするため。である
J喝喝喘:しわがれ声を出して咳をする。痰のからんでいない咳、つまり腎の空咳と言う。
幾ら咳払いをしても痰は出ない。出れば血が混じる。多くの場合夜布団に入った後で体が
温まってから起こす咳。
K起欲.目硯硯無所見:急に立ち上がると立ちくらみを起こし、瞬間目の前が白くなって何も
見えなくなる状態。硯硯は目の前が白くなり何も見えない状態。。
立ちくらみは交感神経による自立神経反射が一瞬遅れ、脳に行く血管を細くすることが出来ず
一過性の脳貧血を起こす。
L心如懸.若飢状:常に心配事が心にあり、一つが解決するとまた次の心配事を探す様子が、あたかも飢えている様に見える。
M善恐.心タタ人將捕之:恐は、心が空虚で自信がないために怖がる。例えば先生に指摘される
ことを恐れビクビクする様なこと。タは恐れる様子。
N骨厥は骨が冷える。
O口熱.舌乾.咽腫.上氣.のど乾及痛:逆上せによる虚熱なので、然谷を使って下におろす。
煩心心痛:ドキドキして心臓が痛む。腎の気が虚し、熱のために上り心に達した、下から突き
上げる痛み。
P黄疸:水代謝が悪く、水分の滞りで生じる。腎が膀胱に水の処理をする様に命令を下すことが
出来ない。腎虚の治療で利尿を促せば解消する。
腸うへき:腸に出来るしこり。
脊股内後廉痛:腎経は仙骨の先端から背骨に入っているために痛む。
痿厥:なえ冷えること。腎虚になると筋肉がなえて、二重顎、二の腕や太ももなどがタプンタプンになる。
臥嗜:寝てばかりいる。腎虚は志を失い、筋肉がなえて起きれない。運動をしようとしても
出来ない。目の前の物ですら人に頼んで取ってもらう。独居人は、自分に必要な身の周り品全てを
手の届く範囲に置いて物事をしようとする。。
足下熱痛:冷え過ぎたために反射的に熱くなる。ほてり。雪の中に手を入れた後熱くなるように
、これは自律神経反射です。これ以上冷えては危険なので防御的に暖めようとします。熱いと言って冷やしてはいけません。
Q灸則強生肉食:腎の病になった時は灸をして暖め、強いて生肉を食べさせろ。しかし生肉が
腎の病に良いのかは不明。又生の肉だが中国は生のまま食べる習慣がないので、新鮮な肉を調理
してと解釈する説もある。帶緩髮被:帯を緩め、髪は結わずにといたままにゆったりとしなさい。
R大杖重履歩:転ばないように大きな杖を持ち、足が冷えないように履物は重ねて履く。重履を
重い履物とし、萎えた筋骨を強くするためと解釈する説もある。
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