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(1966年9月21日-10月5日 ユネスコにおける特別政府間会議)前文
教員の地位に関する特別政府間会議は、 教育をうける権利が基本的人権の一つで あることを想起し、
世界人権宣言の第二十六条、児童の権利 宣言の第五原則、第七原則および第十原則 および諸国民間の平和、相互の尊重と理解 の精神を青少年の間に普及することに関す る国連宣言を達成するうえで、すべての者 に適正な教育を与えることが国家の責任で あることを自覚し、
不断の道徳的・文化的進歩および経済的 社会的発展に本質的な寄与をなすものとし て、役立てうるすべての能力と知性を十分 に活用するために、普通教育、技術教育お よび職業教育をより広範に普及させる必要を認め、
教育の進歩における教員の基本的な役割ならびに人間の開発および現代社会の 発展への彼らの貢献の重要性を認識し
教員がこの役割にふさわしい地位を享受することを保障することに関心を持ち、
異なった国々における教育のパターンお よび編成を決定する法令および慣習が非常 に多岐にわたっている事を考慮し、
かつ、それぞれの国で教育職員に適用さ れる措置が、とくに公務に関する規制が教員にも適用されるかどうかによって非常 に異なった種類のものが多く存在すること を考慮に入れ、
これらの相違にも拘らず教員の地位に関 してすべての国々で同じような問題が起こ っており、かつ、これらの問題が、今回の 勧告の作成の目的であるところの、一連の 共通基準および措置の適用を必要としてい ることを確信し
教員に適用される現行国際諸条約、とく にILO総会で採択された結社の自由及び 団結権保護条約(一九四八年)、団結権及び 団体交渉権条約(一九四九年)、同一報酬条約(一九五一年)、差別待遇(雇用及び職案) 条約(一九五八年)、および、ユネスコ総会で 採択された教育の差別反対条約(一九六〇 年)等の基本的人権に関する諸条項に注目 し、
また、ユネスコおよび国際教育局が合同 で召集した国際公教育会議で採択された初 中等学校教員の養成と地位の諸側面に関す る諸勧告、およびユネスコ総会で、一九六二 年に採択された技術・職業教育に関する勧告にも注目し、
教員にとくに関連する諸問題に関した諸規定によって現行諸基準を補足し、また、 教員不足の問題を解決したいとねがい、 以下の勧告を採択した。1定義
1 本勧告の適用上、
(イ)「教員」(teacher)という語は、学校 において生徒の教育に責任を持つすべ ての人びとをいう。
(ロ)教員に関して用いられる「地位」(status) という表現は教員の職務の 重要性およびその職務遂行能力の評価 の程度によって示される社会的地位ま たは尊敬、ならびに他の職業集団と比較して教員に与えられる労働条件、報 酬その他の物質的給付等の双方を意味する。2範囲
2 本勧告は、公立・私立共に中等教育終 了段階までの学校、すなわち、技術教育、 職業教育および芸術教育を行なうものを 含めて、保育園・幼稚園・初等および中 間または中等学校のすべての教員に適用 される。
3 指導的諸原則
3 教育は、その最初の学年から、人権および基本的自由に対する深い尊敬をうえつけることを目的とすると同時に、人間個性の全面的発達および共同社会の精神的、道徳的、社会的、文化的ならびに経済的な発展を目的とするものでなけれぱならない。これらの諸価値の範囲の中で もっとも重要なものは、教育が平和の為 に貢献をすることおよびすぺての国民の間の、そして人種的、宗教的集団相互の間の理解と寛容と友情にたいして貢献することである。
4 教育の進歩は、一般に教育職員の資格 と能力および個々の教員の人間的、教育学的、技術的資質に大いにかかっている ことが認識されなければならない。
5 教員の地位は、教育の目的、目標に照 らしてきめられてくる教育の必要性にみ あったものでなけれぱならない。教育の目的、目標を完全に実現する上で、教員 の正当な地位および教育職に対する正当 な社会的尊敬が、大きな重要性をもって いるということが認識されなければなら ない。
6 教育の仕事は専門職とみなされるべき である。この職業は厳しい、継続的な研究を経て獲得され、維持される専門的知 識および特別な技術を教員に要求する公 共的業務の一種である。また、責任をも たされた生徒の教育および福祉に対し て、個人的および共同の責任感を要求す るものである。
7 教員の養成および雇用のすべての面に わたって、人種、皮膚の色、性別、宗教、 政治的見解、国籍または門地もしくは経 済的条件にもとづく一切の差別が行なわ れてはならない。
8 教員の労働条件は、教員が効果的な学 習を最もよく促進し、その職業的任務に 専念することができるものでなけれぱな らない。
9 教員団体は、教育の進歩に大いに寄与 しうるものであり、したがって教育政策 の決定に関与すべき勢力として認められ なければならない。
4教育目的と教育政策
10 それぞれの国で必要に応じて、人的 その他のあらゆる資源を利用して「指導的諸原則」に合致した包括的な教育政策を作成すべく適切な措置がとられなけれ ばならない。その場合当局は以下の諸原則および諸目的が教員に与える影響を考 慮しなければならない。
(イ) 子供ができるだけもっとも完全な教 育の機会を与えられることは、すべて の子供の基本的権利である。特別な教 育的取扱いを必要とする場合には、適 正な注意が払われなければならない。
(ロ) あらゆる教育施設は、すべての人々 がその権利を享受しうるように平等に 利用されなければならず、性・人種・ 皮膚の色.宗教・政治的見解・国籍ま たは門地もしくは経済的条件の故に差 別が行なわれてはならない。
(ハ) 教育は、一般公共の利益に役立つ基 本的重要性をもつ事案であるから、国 家の責任であることが認識されなけれ ばならない。国家は十分に学校を分布 し、そこで無債の教育をおこない、貧 しい児童に物質的援助をあたえなけれ ばならない。
このことは父母および場合によって は法的保護者が国家によって設立され る学校以外の学校をその子どものため に選ぶ自由をさまたげるもの、あるい は、国家によって定められているか認 められている最低教育水準をみたした 教育機関を個人あるいは団体が設立し 管理する自由を妨げるものという意味 に解釈されてはならない。
(ニ) 教育は経済成長における不可欠の要 因であるから、教育計画は生活条件改 善のために立てられる経済的・社会的 全計画の必要欠くべからざる部分とし て組み入れられなければならない。
(ホ) 教育は、継続的過程であるから、教 育事業の各種部門は、すべての生徒に 対する教育の質を向上させると同時 に、教員の地位を高めるよう調整され 教員の地位に関する勧告 なければならない、
(ヘ) いかなるタイプ、いかなる段階の教 育へも児童が進学する機会を制限する ような陸路が起きないよう、適切に相 互関連した柔軟性ある学校システムに 自由に入れるようにしなければならな い。
(ト) 教育の目標として、いかなる国家も 単に量でのみ満足すべきではなく、質 の向上を追求しなければならない。
(チ) 教育においては、長期および短期の 計画と課程編成が必要である。共同社 会に今日の生徒をうまく組み入れるこ とは、現在の要請というより、むしろ 将来の必要によるのである。
(リ) すべての教育計画には、白国民の生 活に精通し、母国語で教えることので きる国民である、有能で資格のある十 分な数の教員の養成および現職教育の 早期対策が、各段階にわたってふくま れていなければならない。
(ヌ) 教員養成および現職教育の分野にお ける系統的継続的な研究と活動の協力 が、国際的次元での協同研究および研 究成果の交流をふくめて、欠くことの できないものである。
(ル) 教育政策とその明確な目標を決定す るためには、文化団体、研究、調査機 関はもちろんのこと、関係当局、教員 団体、雇用主と労働者、および父母等 の各組織のあいだで、緊密な協力が行 なわれなければならない。
(ヲ) 教育の目的、目標の達成は、教育に 当てられる財政手段に大きくかかって いるのであるから、すべての国におい て、国家予算のなかで、国民所得のう ちの十分な割合を教育の発展に配分す ることをとくに優先すべきである。5教職への準備
養成のための選抜
11 教員養成への入学に関する方針は、 必要な身体的、道徳的、知的資質を備え、 かつ要求される専門的知識および技能を もった十分な数の教員を社会に提供する という必要にもと.ついたものでなけれぱ ならない。
12 この必要に応じるため、教育当局は、 教員養成に十分な魅力を持たせ、また適 切な機関に十分な数の定数を準備しなけ ればならない。
13 この職業に入るすべての者に、適切 な教員養成機関において、認定されたコ ースを終了することが要求されなければ ならない。
14 教員養成機関への入学許可は、まず 適正な中等教育の全課程を終了し、かつ 将来この職業にたずさわるものにふさわ しい一員となることに役立つような個人 的資質を持っている事の証明にもとづく ものでなけれぱならない。
15 教員養成機関への入学を認可する一 般的基準が維持されなければならない が、入学に必要な正規の学問的諸条件が 少し不足していても、技術および職業の 面でとくに貴重な経験を持っている者は 入学を許可されてよい。
16 教員養成課程の生徒には、定められ た課程を受けられるよう、かつ相応の生 活が出来るよう、適当な奨学金又は、財 政的援助が与えられなければならない。 出来る限り当局は無償の教員養成機関の 制度を樹立するよう努力しなければなら ない。
17 教員養成についての機会および奨学 金又は財政的援助に関する情報が、学生 および教員を希望する他の人々にいつで も手に入るよう準備されていなければな らない。
18
(1) 教職につく権利を部分的、また は全面的に確立するものとして、他国 で終了した教員養成課程の価値に正当 な考慮が払われなければならない。
(2) 職業上の地位を授ける教授資格証明 書を国際的に同意された基準に照らし て、国際的に承認するための措置がと られなければならない。教員養成課程
19 教員養成課程の目的は、 学生一人ひ とりが、一般教育および個人的教養、他 人を教える能力、国の内外を問わず良い 人間関係の基礎をなす諸原則の理解、お よび、社会、文化経済の進歩に、授業を とおして、また自らの実践をとおして貢 献するという責任感を発展させるもので なければならない。
20基本的に教員養成課程は次のものを 含むべきである。 (イ)一般教養課目
(ロ)哲学・心理学・教育に適用されてい るような社会学・教育理論と教育史・ 比較教育・実験教育学・教育行政およ び各種教科の教授法等の諸科目の重要 点に関する学習
(ハ) その学生が教えようとする分野に関 する諸科目
(ニ)分に資格ある教員の指導の下での 授業および課外活動の実習21
(1)すべての教員は、共に一般教養 科目、専門科目、教育学諸科目によっ て、大学または大学と同等の教育機関 で、あるいは教員養成のための特別機 関で養成されなければならない。
(2)教員養成課程の内容は、身心障害児 施設あるいは技術、職業学校等、種別 を異にする学校で、教員が果すことを 求められる任務に応じて、当然異って よいものである。後者の場合、この課 程は、工業、商業又は農業の現場にお いて習得されるべき実際経験を含むべ きである。22 教員養成課程は、各人の学術的また は専門的教育もしくは技能開発コースと 並んで、あるいはそれにひきつづ いて、 専門コースを与えるものであってよい。
23 教職のための教育は、通常、全日制 であるべきである。ただし、年長の教職 志望者や特別な部門にある者に対して は、このような課程の内容や修了の規準 は、全日制課程の者と同様の水準にもと ずくという条件のもとで、その課程の全 部あるいは一部が定時制で行なわれるよ うにする特別の措置を講ずることができ る。
24 初等、中等、技術、特殊または職業 教育のいずれの教員であるかにかかわり なく、異なった種類の教員が、有機的に 関係ある、ないしは地理的に相互に近接 する養成機関で教育をうけられるように することが望ましいことを配慮しなけれ ばならない。
教員養成機関
25 教員養成機関の教員は、高等教育と 同等のレベルで、その専門について教え 得る資格を持たなければならない。教育 学諸教科の担当教員は、学校での授業経 験を持たなければならない。そして可能 なところでは学校での授業義務を補うこ とによって定期的にこの経験が再強化さ れなければならない。
26 教育および個々の教科の教授法の研 究および実験的試みは、教員養成機関に 研究施設を設けること、およびその教員 と学生による研究活動等を通じて促進さ れなければならない。教員養成にたずさ わる全教員は、関係分野における研究成 果を熟知し、その成果を学生に伝達する よう努力しなければならない。
27 教員養成機関における生活、活動、 規律を定める措置について、教員と同様 に、学生もその意見を表明する機会を持 たなければならない。
28 教員養成機関は、学校が、教員養成 機関での研究の成果や方法論上の進歩に 歩調を合わせて進めるようにし、また、 学校と教員の経験を教員養成機関の独自 活動のなかに反映しながら、教育事業に おける発展の中心をなすものでなければ ならない。
29 教員養成機関は、個別にまたは合同 し、他の高等教育機関または教育当局と 提携して、または単独で、教員養成課程 を満足に終了した学生には資格証明を与 える責任をもたなければならない。
30 学校当局は、教員養成機関と協力し て、新卒教員が、習得した内容、個人の 希望、環境に応じて就職できるよう、適 切な措置を講じなければならない。
6教員の継続教育
31 当局と教員は、教育の質と内容およ び教授技術を系統的に向上させていくこ とを企図する現職教育の重要性を認識し なければならない。
32 当局は、教員団体と協議して、すべ ての教員が無料で利用できる広範な現職 教育の制度の樹立を促進しなければなら ない。この種の制度は、多岐にわたる手 段を準備し、かつ、教員養成機関、科学・文 化機関および教員団体がそれぞれ参加す るものでなければならない。一時教職か ら離れて再び教職に戻る教員のためとく に再訓練課程を設けなければならない。
33
(1) 教員がその資格を向上させ職務 の範囲を変更または拡大し、あるいは、 昇進を希望し、かつ、担当教科や教育 分野の内容および方法について最も新 しいものを常に身につけるために、講 習または他の適当な便宜が考慮される べきである。
(2) 教員が、その一般教育や職業資格を 向上するための書物、その他の資料を 利用できるようにする諸手段が講じら れなければならない。34 教員には継続教育の課程や便宜に参 加するための機会および刺激が与えら れ、また教員はこれらを十分に活用すべ きである。
35 学校当局は、教科および教授法に関 する研究成果をとりいれられるようにす るため、あらゆる努力を払わなければな らない。
36 当局は、教員が、継続教育を目的と して、集団であれ、個人であれ、自国内 および国外を旅行するのを奨励すべきで あり、できるかぎり、援助を与えなけれ ばならない。
37 国際的または地域的な規模での財政 的技術的協力によって、教員の養成およ び継続教育のためにとられる措置が発展 され補足されるべきことが望ましい。
7雇用とキャリア
教職への参加
38 教員団体との協力により、採用を規 定する方針を適切な次元で明確に規定 し、かつ教員の義務と権利を定める規則 を確立しなければならない。
39 教職への参加に関する試用期間は、 新しい教職参加者へのはげましとたより になる手ほどきのための、そして教員自 身の実際の教授能力を向上させることと ならんで適切な専門的水準を確立し、保 持するための機会として教員およびその 雇用主の両者によって認識されなければ ならない。普通の試用期間は、あらかじ め知らされるべきであり、それを満足に 終了するための条件は、厳密に職業的能 力に関連づけられなければならない。も しその教員が試用期間を満足に終了し得 なかった時は、教員はその理由を知らさ れなければならず、かつこれに対して意 見を述べる権利を持たなければならな い。
昇進と昇格
40 教員は、必要な資格を有することを 条件として、教育の仕事の範囲内で、あ る種の学校あるいは、ある段階の学校か ら、他の種の学校あるいは他の段階の学 校に異動できなければならない。
41 教育事業の組織と構造は、個々の学 校のそれをもふくめて、個々の教員に付 加的な責任を果たすことの自覚、および 果たすための十分な機会を、これらの責 任が教員の教授活動の質あるいは規則正 しさに不利にならないという条件のもと に、与えなければならない。
42 学校が十分に大きければ、さまざま の教員が、各種の責任を果たす機会を提 供され、生徒もそれによって利益を得る という利点に考慮が払われなければなら ない。
43 督学官および教育行政官、教育管理 者あるいはその他、特別責任を持つ部署 など教育に責任をもつ部署はできる限り 広く経験豊かな教員に与えられなければ ならない。
44 昇格は、教員団体との協議により定 められた、厳密に職業的な基準に照らし、 新しいポストにたいする教員の資格の客 観的な評価にもとづいて行なわなければ ならない。
身分保障
45 教職における雇用の安定と身分保障 は、教員の利益にとって不可欠であるこ とはいうまでもなく、教育の利益のため にも不可欠なものであり、たとえ学校組 織、または、学校内の編成に変更がある 場合でも、あくまでも保護されるべきで ある。
46 教員は、その職業的身分またはキャ リアに影響する専断的行為から十分に保 護されなければならない。
専門職としての行為の違反に関する懲戒 処分
47 専門職としての行為規定を犯した教 員に適用される懲戒基準は明確に規定さ れなければならない。懲戒手続き、およ びすべての決定された措置は、授業活動 の禁止が含まれているか、あるいは生徒 の保護又は安全がそれを必要とする場合 を除いて、その教員がそれを要求すると きにのみ公表されなければならない。
48 懲戒を提案し、ないしは適用する資 格を有する当局ないし機関は、明確に指 定されなければならない。
49 教員団体は、懲戒問題を扱う機関の 設置に当たって、協議にあずからなけれ ばならない。
50 すべての教員は、一切の懲戒手続の 各段階で公平な保護を受けなければなら ない。とくに、
(イ)懲戒の主張およびその理由を文書に より通知される権利
(ロ)問題の証拠を十分に入手する権利
(ハ)教員が弁護準備に十分な時間を与え られ、自らを弁護し、または自己の選 択する代理人によって弁護を受ける権利
(ニ)決定およびその理由を書面により通 知される権利
(ホ)明確に指定された法定資格を有する 当局ないし機関に異議を申し立てる権 利51 懲戒からの保護、ならびに懲戒それ 自体の効果は、その教員が、同僚の参加 のもとで判定を受ける場合、非常に高ま る、ということを当局は認識しなければ ならない。
52 前記第四七項から第五一項の諸規 定は刑法の下で処罰される行為に対し て通常適用される法規にいかなる意味で も影響を及ぼすものではない。
健康診断
53 教員は定期健康診断を受けることを 要求されるべきであり、それは無料で行 なわれなければならない。
家庭の責任をもつ婦人教員
54 結婚が婦人教員の任命ないし雇用の 継続の障害とみなされてはならず、また .報酬、その他の労働条件に影響してはな らない。
55 雇用主は、妊娠および母性休暇の故 をもって、雇用契約を解除することを禁 止されなければならない。
56 家庭の責任を持つ教員の子どもの面 倒を見るため、願わしい場合には、保育 所、託児所等の特別の便宜が考慮されな ければならない。
57 家庭の責任を持つ婦人教員が居住地 域で勤務できるようにし、また夫婦とも 教員である者は、近接する学区あるいは 同一学区および同一学校で勤務できるよ うにするための措置が講じられなければ ならない。
58 適切な条件のもとでは、停年前に離 職した、家庭の責任をもつ婦人教員は、 再び教職に戻るように奨励されなければ ならない。 非常勤の勤務
59 当局と学校は、必要な場合には、何 らかの理由から常勤で勤務することので きない有資格教員による非常勤の勤務の 価値を認識しなければならない。
60 正規に非常勤制で雇用される教員 は、
(イ)常勤制で雇用される教員と比率的に 同一報酬を受け、同一の基本的雇用条 件を享受すべきであり、
(ロ)有給休日、疾病休暇、母性休暇につ いて、常勤制で雇用される教員と同一 の適格条件を前提として、同等の権利 を与えられるべきであり、
(ハ)雇用主の年金制度の適用を含めて、 十分かつ適切な社会保障保護を受ける 権利を与えられるべきである。8 教員の権利と責任 職業上の自由
61 教育職は専門職としての職務の遂行 にあたって学問上の自由を享受すべきで ある。教員は生徒に最も適した教材およ び方法を判断するための格別に資格を認 められたものであるから、承認された計 画の枠内で、教育当局の援助を受けて教 材の選択と採用、教科書の選択、教育方 法の採用などについて不可欠な役割を与 えられるべきである。
62 教員と教員団体は、新しい課程、新 しい教科書、新しい教具の開発に参加し なければならない。
63 一切の視学、あるいは監督制度は、 教員がその職業上の任務を果たすのを励 まし、援助するように計画されるもので なければならず、教員の自由、創造性、 責任感をそこなうようなものであっては ならない。
64
(1) 教員の仕事を直接評価すること が必要な場合には、その評価は客観的 でなければならず、また、その評価は 教員に知らされなければならない。
(2)教員は、不当と思われる評価がなさ れた場合に、それに対して異議を申し 立てる権利をもたなければならない。65 教員は、生徒の進歩を評価するのに 役立つと思われる評価技術を自由に利用 できなければならない。しかし、その場 合、個々の生徒に対していかなる不公平 も起こらないことが確保されなければな らない。
66 当局は、各種の課程および多様な継 続教育への個々の生徒の適合性に関する 教員の勧告を、正当に重視しなければな らない。
67 生徒の利益となるような、教員と父 母の密接な協力を促進するために、あら ゆる可能な努力が払われなければならな いが、しかし、教員は、本来教員の専門 職上の責任である問題について、父母に よる不公正または不当な干渉から保護さ れなければならない。
68
(1) 学校または教員に対して苦情の ある父母は、まず第一に学校長または 関係教員と語り合う機会が与えられな ければならない。さらに苦情を上級当 局に訴える場合はすべて文書で行なわ れるべきであり、その文書の写しは当 該教員に与えられなければならない。
(2)苦情調査は、教員が自らを弁護する 正当な機会が与えられ、かつ、調査過 程は公開されてはならない。69 教員は、生徒を事故から守るため最 大の注意を払わねばならないが、教員の 雇用主は、校内ないし校外における学校 活動の中で生じた生徒の傷害のさいに教 員に損害賠償が課せられる危険から教員 を守らねばならない。 教員の責任
70 すべての教員は、専門職としての地 位が教員自身に大きくかかっていること を認識し、そのすべての専門職活動のな かで最高の水準を達成するよう努力しな ければならない。
71 教員の職務遂行に関する専門職の基 準は、教員団体の参加のもとで定められ 維持されなければならない。
72 教員と教員団体は、生徒の利益、教 育事業の利益および社会全般の利益のた めに当局と十分協力するよう努力しなけ ればならない。
73 倫理綱領ないし行動綱領は教員団体 によって確立されなければならない。な ぜなら、この種の綱領はこの専門職の威 信を確保し、また合意された原則にした がった専門職の遂行を確保するうえで大 きく貢献するからである。
74 教員は、生徒および成人の利益のた めに課外活動に参加する用意がなければ ならない。 教員と教育事業全体との関係
75 教員がその責任を果たすことができ るようにするため、当局は教育政策、学 校機構、および教育活動の新しい発展等 の問題について教員団体との間に承認さ れた協議手段を確立し、かつ、定期的に これを運用しなければならない。
76 当局と教員は、教育事業の質の向上 のために設けられた措置、教育研究、新 しく改善された教育方法の発展と普及に 教員がその組織を通じ、またその他の方 法によって、参加することの重要性を認 識しなければならない。
77 当局は、一つの学校ないしより広い 範囲にわたり、同一教科担任教員の協力 を促進することを企図する研究会の設立 とその活動を容易にすべきであり、この 種の研究会の意見や提案はこれを正当に 考慮しなければならない。
78 教育事業の各方面に責任をもつ行政 職員およびその他の職員は、教員と健全 な関係を保つよう努力すべきであり、ま た、教員の側もこれら職員に対して同様 でなければならない。
教員の権利
79 教員の社会的および公的生活への参 加は、教員の人間的発達における利益、 教育事業の利益および社会全体の利益と いう観点から、奨励されなければならな い。
80 教員は市民が一般に享受する一切の 市民的権利を自由に行使すべきであり、 かつ、公職につく権利をもたなければな らない。
81 公職につく要件として、教員が教育 の職務をやめなけれぱならないことにな っている場合、教員は、先任権、年金の ために教職にその籍を保持し、公職の任 期終了後には、前職ないしは、これと同 等のポストに復帰することが可能でなけ ればならない。
82 教員の賃金と労働条件は、教員団体 と教員の雇用主の間の交渉過程を通じて 決定されなければならない。
83 法定の、または任意の交渉機構を設 置し、これにより教員が教員団体を通じ てその公的または私的雇用主と交渉を行 なう権利が保障されなければならない。
84 雇用条件等から生じる教員と雇用主 の間の争議の解決に当たるため、適切な 合同の機構が設置されなければならな い。もしこの目的のために設けられた手 段と手続が使い尽くされ、あるいは当事 者間の交渉が行きづまった場合、教員団 体は、他の団体がその正当な利益を保護 するため普通もっているような他の手段 をとる権利を持たなければならない。
9 効果的な授業と学習のため の条件
85 教員は価値のある専門家であるか ら、教員の仕事は、教員の時間と労力が 浪費されないように組織され援助されな ければならない。
学級規模
86 学級規模は、教員が生徒一人ひとり に注意を払うことができるようなもので なければならない。時には矯正教育など を目的とする小グループまたは個人授業 の措置を講じ、また時には視聴覚教具を 使用する大グループ授業の措置を講じる こともできる。
補助職員
87 教員がその専門的職務に専念するこ とができるように、学校には授業以外の 業務を処理する補助職員を配置しなけれ ばならない。
教授用具
88
(1) 当局は、教員と生徒に最新の教 具を提供しなければならない。このよ うな教具は教員を代用するものとして ではなく、教授の内容を向上させ、よ り多くの生徒に教育の利益を施すた めの手段とみなさなければならない。
(2) 当局はこの種の教具の利用について の研究を助長しなければならず、また 教員がこのような研究に積極的に参加 するように奨励しなければならない。労働時間
89 教員が一日あたり、また一週あたり 労働することを要求される時間は、教員 団体と協議して定められなければならな い。
90 授業時間を決定するにあたっては、 教員の労働負担に関係するつぎのような すべての要因を考慮に入れなければなら ない。
(イ) 教員が一日あたり、一週あたりに教 えることを要求される生徒数
(ロ) 授業の十分な立案と準備ならびに評 価のために要する時間
(ハ) 各日に教えるようにわりあてられる 異なる科目の数
(ニ) 教科関係、課外活動、監督任務およ び生徒への助言(カウンセリング)な どへ参加するために要する時間
(ホ) 教員が生徒の進歩について父母に報 告し、相談することのできる時間をと ることが望ましいということ 九一教員は現職教育の課程に参加するた めに必要な時間を与えられなければなら ない。92 課外活動への参加が教員の過重負担 となってはならず、また教員の本務の達 成を妨げるものであってはならない。
93 学級での授業に追加される特別な教 育的責任を課せられる教員は、それに応 じて通常の授業時間を短縮されなければ ならない。
年次有給休暇
94 すべての教員は、給与全額支給の適 正な年次休暇をもつ権利を享受しなけれ ばならない。
研修休暇
95
(1) 教員は給与全額または一部支給 の研修休暇をときどき与えられなけれ ばならない。
(2)研修休暇の期間は、先任権および年 金のための在職期間に通算されなけれ ばならない。
(3)人口集中地帯からかけ離れ、公共当 局によってそのように認められている 地域に住む教員は、他の教員よりひん ぱんに研修休暇を与えられなければな らない。特別休暇
96 二国間および多国間文化交流の枠内 で与えられる休暇期間は、勤務と考えら れなければならない。
97 技術援助計画に従事する教員は、休 暇を与えられなければならない。そして 母国における彼らの先任権、昇任資格お よび年金権は守られなければならない。 さらに、彼らの臨時出費をつぐなう特別 の措置を講じなければならない。
98 外国からの客員教員も、同様に母国 から休暇を与えられなければならず、彼 らの先任権および年金権は守られなけれ ばならない。
99
(1) 教員は、彼らの団体の活動に参 加できるように給与全額支給の休暇を 随時与えられなければならない。
(2) 教員は、彼らの団体の役職につく権 利を有するべきであり、このばあい、 彼らは公職につく教員と同等の諸権利 をもたなければならない。100 教員は、雇用に先立って行なわれ た取りきめにしたがって、正当な個人的 理由によって、給与全額支給の休暇を与 えられなければならない。
病気休暇と出産休暇
101
(1)教員は有給の病気休暇の権利 を与えられなければならない。
(2)給与の全額あるいは一部を支払われ る期間を決定するに当たっては、教員 を長期間にわたって生徒から隔離する ことが必要な場合があることを考慮し なければならない。102 国際労働機関によって定められた 母性保竈の分野における諸基準、とくに 一九一九年の母性保護条約、一九五二年 の母性保護条約(改定)は、本勧告の第 二一六項の諸基準と同じく、これを実施 しなければならない。
103 子どもを持つ婦人教員は、失職す ることなく、かつ、雇用から生ずるすべ ての権利を完全に保護されて、出産後一 年まで追加の無給休暇を、要求によって 取得することができるような措置によ り、教職にとどまることを奨励されなけ ればならない。
教員の交流
104 当局は教育活動にとっても、教員 自身にとっても、外国との専門的、文化 的交流および、教員の外国旅行が大きな 価値をもっていることを認識しなければ ならない。また当局は、このような機会 を拡げるよう努力し、かっ、個々の教員 が外国で得た経験を考慮しなければなら ない。
105 このような交流の希望者の募集 は、いかなる差別もなしに行なわれなけ ればならず、また、関係者はいずれか特 定の政治的見解を代表するものとみなさ れるべきではない。
106 外国で研究し、教えるために旅行 する教員は、そうするための十分な便宜 と、彼らの職と地位に対する適切な保障 を与えられなければならない。
107 教員は、外国で得た敬育上の経験 を、教員の同僚とわかち合うことを奨励 されなければならない。
校舎
108 校舎は安全で全体のデザインが魅 力的であり、また配置において機能的で なければならない。校舎は効果的な教 授、課外活動に役立ち、またとくに農村地域においては、地域社会のセンターと して役立つものでなければならない。校 舎は、定められた衛生基準にしたがって、 また耐久性、適応性および容易かつ経済 的な維持という観点から建設されなけれ ばならない。
109 当局は、生徒と教員の健康と安全 を、いかなる点でもおびやかすことのな いように、学校施設、校舎が適正に維持 されることを保障しなければならない。
110 新しい学校を立案する時には、教 員代表の意見を聴かれなければならな い 。既存の学校に施設を新築するかある いは増築する場合は関係学校の教職員と 協議しなければならない。
農村または僻地に勤務する教員のための 特別措置
111
(1) 人口集中地帯からかけ離れ、 公共当局によってそのように認められ ている地域に勤務する教員とその家族 に対しては、無料または家賃補助のあ る相応な住宅が提供されなければなら ない。
(2) 教員が、その通常の教育の仕事のほ かに地域社会活動を刺激、促進するこ とを期待されている国ぐにでは、その 開発計画に、教員のための適当な宿泊 設備の用意が含まれなければならな い。112
(1)僻地の学校への任命あるいは 転勤にあたって、教員には自身とその 家族の移転および旅行の費用が支払わ れなければならない。
(2) このような地域に住む教員には、必 要な場合、彼らの専門職としての水準 の維持を可能にさせるための特別の旅 行の便宜を与えなければならない。
(3)僻地に転任された教員は、誘引策と して、休暇で年に一度帰郷する際の旅 費を支払われるべきである。113 教員が、特殊の困難にさらされる 場合はつねに、特別困難手当の支給によ って教員に補償すべきであり、このよう な手当は、年金計算の基礎となる収入に 含まれなければならない。
10 教員の給与
114 教員の地位に影響する様々な要因 のなかでも、給与はとくに重要視しなけ ればならない。 または尊敬、彼らの機能の重 要性についての評価の程度等の諸要因 は、他の対応する専門職の場合と同様、 主として教員のおかれている経済的状態 にかかっているからである。
115 教員の給与は
(イ) 教員が教職についたときから彼らに 課されるあらゆる種類の責任を反映し なければならないと同時に、教育機能 の社会に対する重要性、したがって教 員の重要性を反映しなければならな い。
(ロ) 類似のあるいは同等の資格を要求さ れる他の職業に支払われる給与とくら べて遜色があってはならない。
(ハ)彼ら自身と家族のために適正な生活 水準を確保するとともに、研修の積み 重ねあるいは教養活動を続け、もって 彼らの専門職としての資質を向上する に足るものでなければならない。
(ニ) ある種のポストは、より高い資質と 経験を必要とし、より大きな責任をと もなうという事実を考慮しなければな らない。116 教員は、教員団体との合意によっ て定められた給与表にもとづいて給与を 支払われなければならない。いかなる場 合にも、有資格の教員には、その試用期 間中あるいは臨時採用中に、正式に雇用 された教員を対象として規定されたもの より低い給与表によって給与を支払って はならない。
117 給与構造は、異なる教員集団の間 のまさつを起す原因となる不公平や変則 性を生じないように計画されねばならな い。
118 最高授業時数が定められているぱ あい、正規の時間数が通常最高隈を超え る教員は、承認された給与表にもとづい て追加の報酬を受けなければならない。
119 給与差は、資格水準、経験年数、 責任度などの客観的な基準にもとづいた ものであり、最低給と最高給の関係は、 合理的な性格のものでなければならな い。
120 いかなる学位ももたない職業科あ るいは技術科の教員を基本給与表に格付 けする場合には、その実際的訓練と経験 の価値に対する手当が支給されなければ ならない。
121 教員の給与は一年を基準として算 出されなければならない。
122
(1) 定期的な、なるべくならぱ年 一回の給与増加による同一等級内の昇 給を規定しなければならない。
(2) 基本的給与表の最低額から最高額に 達する期間は、十年ないし十五年をこ えてはならない。
(3) 試用あるいは臨時採用期間中の勤務 に対しても、昇給を教員に与えなけれ ばならない。123
(1) 教員の給与表は、生活費の値 上り、国内における生活水準の向上を みちびく生産性の増加、賃金あるいは 給与水準の全般的上昇動向などの要因 を考慮に入れて定期的に再検討されな ければならない。
(2) 生活費指数にしたがって、給与を自 動的に調整する制度を採用している国 では、どの指数をとるかは、教員団体 の参加のもとに決定しなければならな い。そして、支給される生活手当は、 すべて年金計算の基礎となる収入に含 まれるものと見なされなけれぱならない。124 給与決定を目的としたいかなる勤 務評定制度も、関係教員団体との事前協 議およびその承認なしに採用し、あるい は適用されてはならない。
11社会保障
一般的規定
125 すべての教員は、勤務する学校の 種類に関係なく、同一の、あるいは類似 の社会保障を享受することができなけれ ばならない。保障は、教員として正式に 採用されている者に対する養成期間およ び試用期間にも及ぼされなけれぱならな い。
126
(1) 教員は、国際労働機関の一九 五二年の社会保障(最低基準)条約に 含まれるすべての事故に関する社会保 障措置、すなわち、医療、病気給付、 失業給付、 家族給付、 老齢給付、 出産給付、 業務傷害給付、 廃疾給付および 遺族給付によって保護されなければな らない。
(2)教員のための社会保障の諸基準は、 少くとも国際労働機関関係文書とくに 一九五二年の社会保障(最低基準)条 約に定められた基準と同程度に有利な ものでなければならない。
(3)教員のための社会保障給付は、権利 として与えられなければならない。127 教員の社会保障による保護は、第 二一八項から第一四〇項の諸規定に示さ れるような教員の特殊な雇用条件を考慮 しなければならない。
医療
128 医療施設が不十分な地域では、教 員は適切な医療を受けるために必要な旅 費を支給されなければならない。
病気給付
129
(1) 病気給付は、収入の中絶をと もなうすべての就業不能期間をつうじ て与えられなければならない。
(2)それは収入中絶のつど、その第1日目から支払われなければならない。
(3) 病気給付の継続期間が一定期間に限 られている国では、教員を生徒から隔 離しておくことが必要な場合における 延長を規定しなければならない。130 教員は、学校における授業中のみ ならず、学校の校舎あるいは敷地をはな れて学校の活動に従事しているときにう けた傷害の結果に対しても、保護されな ければならない。
131 子どもの間に流行している一定の 伝染病は、生徒との接触のために、これ らの病気にさらされる教員が感染したと きには、職業病と見なされなければなら ない。
132 教員が国内のいかなる教育当局か ら獲得した年金資格も、同一国内の他の いかなる当局の雇用の下に転勤しても通 算されなければならない。
133 正式に教員不足が認められた場 合、年金受給資格を得た後も勤務を続け る教員は、国内法令を考慮して、年金計 算において、その後の追加勤務年数を加 算され、あるいは適当な機関を通じて追 加年金を得ることができなけれぱならな い。
134 老齢給付は、教員が適切な生活水 準を維持し続けられるように最終収入に 相応したものでなければならない。
廃疾給付
135 廃疾給付は、身体的あるいは精神 的障害のために教職を中止することを余 儀なくされた教員に支払われなければな らない。病気給付の延長その他の手段に よっても償われないような後遺障害の場 合には、年金の支払が規定されなければ ならない。
136 教員の障害が部分的なもので、非 常勤で教えられるときは、部分的廃疾給 付が支払われなければならない。
137 廃疾給付は、その教員が適切 な生活水準を維持し続けられるよう に、最終収入に相応したものでなけれ ばならない。 A可能なかぎり、身体障害教員を、以 前の活動の再開のために準備させるこ とを目的とする機能回復のための治療 活動と同時に、身体障害教員の健康を 回復すること、あるいはそれが不可能 ならぱいくらかでも向上させることを 目的とする医療およびそれと関連した 諸給付が規定されなければならない。
遺族給付
138 遺族給付資格付与の条件とその給 付の額は、遺族が適正な生活水準を維持 し、残された子どもの福祉と教育を確保 することを可能にするものでなければな らない。
139
(1)教員のための社会保障は、で きるだけ公共部門の、あるいはそれが 妥当な場合には民間部門の被雇用者に 適用される一般的制度を通して確保さ れなければならない。
(2)補償すべき一つあるいはそれ以上の 事故のための一般的制度が存在してい ない場合には、法令による、またはよ らない特別制度を確立しなければなら ない。
(3)一般的制度の下における給付水準が この勧告に規定されたものより低いと きには、補足的制度によって勧告され た水準まで引き上げなければならな い。140 その基金の投資を含めて、これら の特別制度および補助制度の運営に教 員団体の代表を関与させる可能性に対 して考慮を払わなければならない。
12 教員の不足
141
(1)すべての教員の緊急補充問題 は、あくまで臨時の措置としてのみ考 えられなけれぱならず、すでに確立し た、あるいは確立されるべき専門職と しての基準をいかなる形にせよ引き下 げ、あるいは危くすることがなく、生 徒に対する教育上の損失を最少限にと どめる方策によって処理することを指 導原則としなければならない。
(2)過大学級、教員の授業担当時間の不 当な延長など、教員の不足に対処する ことを目的とした臨機の処置は、教育 の目的目標と両立しがたいものであ り、生徒たちにとっても有害であるこ とを認識して、主務官庁は、緊急にこ れらの便宜的処置を不必要とし、廃止 するための手段を講じなければならな い。142 教員を供給する上での配慮が短期 の集中的な応急教員養成課程を必要とす る発展途上の国ぐにでは、教育事業を指 導し、指示する能力のある専門的訓練を 受けた有能な教員群を生み出すために十 分に専門的で、包括的な課程を準備しな ければならない。
143
(1)応急の短期課程で訓練を受け るために採用される学生は、彼らがひ き続いて全課程の必要課目を修得する 能力をもっているのを確実にするため に、通常の専門過程あるいはそれより も高度の課程への参加に適用される基 準に照らして選抜されなければならな い。
(2)このような学生が勤務しつつその資 格を完全なものにすることができるよ うに、給与全額支給の特別研修休暇を 含む措置と特別の便宜が与えられなけ ればならない。144
(1)できるかぎり、無資格者は、 専門職としての資格をもつ教員の綿密 な監督と指導の下に勤務させなければ ならない。
(2)継続雇用の一条件として、これらの 者には、その資格を得ること、あるい は十分なものにすることが要求されな ければならない。145 教員の社会的・経済的地位、生活 条件および労働条件、雇用条件ならびに キャリアの見通しを改善することが、有 能かつ経験をつんだ教員が不足している という事態を克服することであり、また、 完全な資格をもつ人びとを十分な数だけ 教職にひきつけ、ひきとめる最良の手段 であることを当局は、認識しなければな らない。
13 最終規定
146 教員がいくつかの点でこの勧告に 規定されているより有利な地位を享受しているところでは、本勧告の諸規定を、 すでに与えられている地位を引き下げる ように活用してはならない。