基礎学力をつける教育課程づくり


はじめに  

 秋の地域教育懇談会や教育研究集会の講師として11カ所で学習し、語り合う中でレ ポートテーマへの確信を深めてきましたが、その中から二つの意見を紹介します。

「私は2人の子どもがいます。1人の先生はきっちりやるけど、1人は宿題も全くなく、家で片方が勉強やってても、『うちのクラスは馬鹿クラスだから・・・』  といっています。保護者会では『来年算数がへる。でもこれだけあれば十分』なんてだけいっているんです。」  

 小学生の母親からこのような学力をめぐる不安感が率直に語られました。  一方、懇談会でのある医師の言葉が心に残ります。私が、最新の脳科学の成果に基づ き音読や算数の学習の大切さを話した時のことです。

「今の先生の話を聞いて納得した事があります。大人になっても、小さい頃自分の  力で勉強が分かったことが力になるんですね。小学校のたし算で先生と違うやり方を見つけ、その方がずっと分かりやすく、それを先生も認めてくれた。その喜びが今も力になっています。患者への新たな治療方針がスタッフとのディスカッションの中で見えてくることがある。今、医師として自分の生き方を振り返ったとき小さい時のあの喜びと自信が今の私のひとつの源になっているような  気がします。手探りで歩んできた自分なりの学習の道を振り返る手がかりを得たようで楽しい時間でした」  

 学校教育は、教育権を持っている保護者から一時期大切なお子さんを預かり、その願いを受けとめ、またお返しします。教育基本法と学校教育法を生かす教育課程づくりはこうした声をしっかり受けとめることから始めたいと思います。

1、今、保護者は学校に何を望んでいるか  

  市立A小学校(児童数約250名、1学級21名から34名までの10学級)では、学校評価の学校教育目標見直しの中で保護者アンケートを実施しました(回収率92%)  保護者から見た子どもの生活実態やどんな子に育ってほしいか、子育ての悩み、学校へ評価や要望、教育活動のアイデアなどの意見を求めました。  小規模校で落ち着いて学習する学校の実態を反映し、保護者は協力的です。  3学期の保護者会は16ページの報告集をもとに学年のわくをこえたテーマ別の懇談会も持ち、この声がその後の校内研究や教育課程づくりの土台にもなります。  
質問項目は、(同じ項目での教師アンケートも実施)
1、子どもの生活の評価を4段階で(項目は生活指導の月目標を手がかりに)
2、教育目標(3つ)で特に力を入れてほしいことは
3、お子さんが一人前の大人に育っていく上で、どんな事が大切だと思いますか。 (学力面、しつけや道徳教育の面で自由記入)
4、学校でこんな事をやってみてはという提案や思いつきがあったらお書き下さい
5、命の大切さについてテレビ・新聞・本などをきっかけにお子さんと話すことがありますか。
6、性の問題についてテレビ・新聞・本などをきっかけにお子さんと話すことがありますか。
7、命の大切さや性教育について気がかりなことや学校で取りあげてほしい事は

1,お子さんの生活について(教師アンケートも実施)   

良い所ベスト5         
◆「良い」と「だいたい良い」の合計
@人にやさしい   92%    
A公共の物を大事にする  83%
B善悪の判断が出来る   86%
C身近な動植物に興味がある 84%
D男女仲良くする  83%
プラス評価が低い5
◆「もう少し」と「不十分」の合計
@整理整頓をする 60%
A人の話を終わりまで聞く 36%
B相手のことを考えて行動する29%
Cめあてに向かってがんばる 28%
Dあいさつをする 27%  

2 学習や遊び面では

  「良い」と「だいたい良い」 「もう少し」と「不十分」
外遊びをする 80% 20%
学校の勉強がわかる 79% 21%
家庭学習をする 57% 43%

2,お子さんが一人前の大人に育っていく上で、学力の面ではどんなことが大切だと思いますか。(代表的な意見を抜粋)

1年
・言語能力を高め、自分の考えを言葉で表現し相手に伝えようとする態度を育てること
・学力の面では集中して物事を考え覚えるということをしてほしい。 2年
・一つでも多くのことを経験することだとおもいます。机の上の勉強だけでなく自分の手で触れる事が大切だと思います。経験していろいろなことを考えたりしていくことで少しずつ大人になるのだと思います。
3年
・一人一人がわかる授業クラスの人数が少ないのでいきとどいた授業をしてもらいたい。
・学力面、毎日少しでもいいからやっていくよう心がけてください。
・学力面では学習習慣
4年
・学力については大きくなると親が教えるということが難しいので、わかるまでしっかり教えてほしいです。
・学力の面で何か一つでも自分が自信を持てる教科や科目を見つけ、そして伸ばしてあ げてほしいのです。
5年
・学力で遅れが出ますと、だんだん学校が遠くなっていくと思います。わからないところはわかるまでご指導していただきたいと思います。
・勉強に関しては、結果ではなくて過程、どのくらいがんばったかを見てあげたいと思っています。苦手なことだったら、あまり結果がよくなくても、一生懸命やっていたなら、なるべくそれをほめてやりたいと思います。
6年
・一人一人の子どもが理解できる学習、わからないままで終わらないでほしい。
・中学の3年間の学習が心配です。
・命の大切さ、性の問題について大切だと思いますし、なかなか家庭では、教えにくいので学校教育の中でやっていただくといいと思います。

学力面では・・・・学習を通して人格の完成をめざす教育基本法に合致
1、わかるまでしっかり教えてほしい。(一人一人が理解できるように)
2、勉強を通して豊かな人に育ってほしい(自分の考えを言葉で伝える態度  自分の意志を持つ、自信を持つ、がんばる過程を大切に 等)
3、豊かな学習体験を(聞く・話す、手を使う等様々な体験、討論等)
4、率直な心配事も

3、一人前の大人に育っていく上で、しつけや道徳面で何が大切だと思いますか。

1年
・今の世の中悪いことだらけでなにがよくてなにが悪いのか・・・が大切。善悪の区別 だけはわからせたいと思っていますが。
2年
・一番難しい問題では今の世の中、中高校生の世を驚かすことばかり多くどのように育てていいのか考えさせられます。学業も大事だが友達も多く明るく何にでも話せる子。
3年
・勉強も大切だと思いますが、・新聞、テレビなどで様々な事件が報道されるたび小さ い頃から命の大切さ、人を思いやる心をはなしたり教えたりしていかなくてはならな いと感じています。私たちが育った子どもの頃と比べて遊ぶ時間も少なく便利になってきましたが大人としては成長するために必要なことはしっかり教えなくては。
4年
・人間はみな同じ。だけど一人一人みな違う。この世に自分と同じ人間なんて絶対にい ない。みんないいところと悪いところを持っている。それを認めあって生きていかな ければいけないということをしっかり教えたいです。
5年
・いろいろな少年の犯罪が続いていますが、その報道を聞くたびにどのように育てたら いいのか悩んでしまっているのが今の状態です。
・子どもが両親の愛情を十分に感じ、育つこと。家庭環境が落ち着いているということ。
6年
・しつけや道徳観念は個々の家庭の自己中心的な部分も根強いので取り扱いにくいと考 えます。それよりも、命の大切さ、人と人との関わり方、接し方、チームワークの大  切さ友情をいかにして芽生えさせるかの手助け、援助、導きが必要なのでは。

道徳・しつけ面では  
昨今の少年事件に心痛め、子育ての不安が広がり、学校では善悪 の判断、命の大切さ、思いやりの心を育ててほしいと願っている。その ためにも親子、友達、先生とのふれあいが大切だと感じている。  

上記の意見は、この学校で何を大切にするかの方向性を保護者の側から示し、教科指導、総合的な学習の時間の内容(例:「命・生きる・性」等)にも反映されています。

まとめ  
子どもの発達を保障する教育課程づくりは、具体的な子どもの姿、実態、保護者の子どもの捉え方や願いをふまえてつくられる必要があります。  
 その学校の子どもの現状認識と課題を共通理解するためには、共通の資料が多面的に豊かに用意される事が大切だと思います。
 東京の多くの学校では教師個人・学年・教科・分掌からの事前のアンケートが学校評価の論議の素材になっています。  
 保護者アンケートは、こうした論議の幅を広げるひとつの方法を示しています。  「各学校においては、〜地域や学校の実態及び児童の心身の発達段階や特性を十 分考慮して、適切な教育課程を編成するものとする」との指導要領の総則の文言は 教育基本法6条(学校教育)や学校教育法2章・3章(小中学校の目的)を反映したものと考えます。  
 今、「特色ある教育」の名で学校間・教師間競争が上から持ち込まれ、他の学校と 違った新しい活動(地道な基礎学力の保障でなく)を取りあげる(飛びつく)事が奨励されています。  特色が学校長の評価に短絡的につながり、「前任の校長の特色と同じではだめだからまた新しい特色づくりで学校が落ち着かない。これでは学校の校風も育たない」と各地の研究会で教師から良く聞く言葉です。  これは本末転倒です。地域の実態や児童生徒の実態に合わせて憲法・教育基本法・学校教育法に則り学校の責任で行う中で、結果としてその地域にふさわしい教育活動として現れるのだと考えます。  
 また、上記の例のようにどの学校でも自由に寄せられる意見は、能力に応じて等しく教育を受ける権利を保障した憲法と教育基本法、普通教育(普遍的で共通な内容をどの子にも保障する)を具体化した学校教育法の示す小中学校の目標とつながると思います。   先の国会で成立した「教育関連法」の内容は、奉仕活動の強制化、問題を起こす子の学校からの排除、飛び級、学区拡大、「指導力不足」教員問題であり、保護者の学校への願いをかなえるどころか「見当違いの処方箋」(朝日新聞)とマスコミも指摘している通りです。  では、教育課程のおおもとを示す指導要領はどうか、次の章で検証してみます。

2、教科書と新学習指導要領はこの声に応えているか


・典型的なエピソード  
市教研の社会科部会で他市の指導主事を招いての新教育課程の講演で・・・ 「 今までは知識を教え込むことが中心でした。しかし知識というのは時代と共に変わるんです。例えばモスクワがソ連の首都だと教えたがもうソ連はない。  縄文時代は 狩りのくらし、弥生時代は米作りと。ところが最近の発掘では縄文時代にも米作りの跡が見つかった。だから知識を教え込んでもだめ。これからは学び方が社会科でも大切 」  そこで、私はこう質問しました。 「今、知識は時代と共に変わると言われたが本当でしょうか。縄文時代にあちこちで米作りの跡が見つかったと言うことは、『縄文ー狩りの時代 →弥生ー米作り』  とぱっと変わったんじゃなくて、日本列島の中で狩りから米作りへと豊かに変化がとらえられるようになったのではないですか。   知識は時代と共に変わるのではなく、より豊かになっていくんのではないですか。そうとらえなければ極端に言えば社会科とう教科はいらないということにもつながりませんか」  あちこちでうなづく姿が見られ、終了5分前の質問への講師の「答え」は、 「皆さんは、社会科の専門家です。研究というのは今までの積み上げが大事です。  それを大事にして今日の私の話で参考になるところがあれば生かしてください」  諸科学と教育学の学問的基盤を持たないだけに指導主事も回答に窮したようです。

(1)学力観の反映の内容面をいくつか見ると  
@小学校社会科では、「理解」をくぐりぬけない「考える力」
・3・4年 時間数が大幅に減った(26%減)が、削除された内容は少ない。それに見合って選択学習と内容の統合を打ち出している。
・5年 「目標で」は「理解」の文言はあるが「内容」で10あった「理解」の文言が消え、「国旗の理解」だけが唯一。
・6年   「内容」の「・・など」が削除され指導要領からはみ出さないように求められている。ここでも内容の「理解」は歴史的事象と天皇・国旗だけ。その他は「調べ・・・考える」とされた。  

A内容の取り扱いで「指導要領以上はだめ」を強調し教科書に反映
 「3割削減」の割に小学校指導要領は、ページ数だけ見ると112ページから97ページと14%減です。その中で突出しているのが「内容の取り扱い」での「しばり」で多くのページ数を占めている事に気がつきました。   小学理科や小学校算数をみると驚きます。   「厳選したのだから、書いてあること以上は『扱わない』『簡単に・・』『深入りしない』のオンパレードです。こうして教科書は編成させられました。 まるで日光の「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿を連想してしまいます。

指導要領の「内容の取り扱い」について

小学校理科 5年  内容の取扱い
1)「生物とその環境」
ア、「種子の中の養分」については、 でんぷんだけを取り扱 うものとする。
イ、・・・土を発芽の条件や成長の 要因として取り扱わな いこと。
ウ、・・・また、受粉については、虫や風が関係していることに ふれる に とどめる こと。
2)・・・また、受精に至る 過程は取り扱わないも のとする。
3)・・・支点が力点と作用点の間にあるてこ だけを使 い、てこの原理が 理解できる程度にとどめ るものとする。

小学校算数 6年  内容の取扱い
3)・・・帯分数を含む計算は 取り扱わな いものとする。
4)・・・乗数、除数が単位分数など 簡単な場合を取り扱 うものとする。
5)・・・立方メートルの単位についても 簡単に取り扱 うものとする。 7)・・・展開図、立面図及び平面図は 取り扱わな いものとする。
8)・・・等しい比があることを理解する程度とするとともに、比の値  は 取り扱わない ものとする。

中学校 理科  第1分野       
・・・屈折率は扱わない 。
・・・レンズの公式は扱わない 。  
・・・気温などとの 関係に触れない こと。
・・・力の合成と分解は 扱わな いこと。
・・・水圧は 扱わない こと。
・・・混合物の状態変化に 深入りしな いこと。
(以下略)

(3)指導要領作成の側の発言から意図を読みとる

 
◆数学の編集者の発言(昨夏の研究会で聞いた話)  
 私は、中学校の数学の指導要領の編纂をしました。今回の文部省の姿勢は「できない子」「できる子」に目を向けて「個に応じた指導」ということでした。 わたしは、3割削減の指導要領は、今世紀最悪の内容になるからとことわりました。  そうしたら、文部省の役人は「私たちも最悪になるのはわかっています。誰が作っても最悪になります。だから、その中でも被害が一番少ないものを作れるのは先生しかいないので」といってきました。それで最後にはやりました。 (世界の数学教育の動向とアジアの国の発展にふれながら)私は、数学教育の世界大会でこの3割削減の指導要領は21世紀に禍根を残すと発言しました。  聞いていた各国の参加者は驚きました。将来のことを考えて、早急に指導要領を改訂してほしい。そのためには保護者の方にわかってもらうこと、それを先生方はいってほしい。  
◆教育課程審議会会長(当時)の話  
 できん者はできんまままで結構。・・・限りなくできない非才・無才には、せめ  て実直な精神だけを養っておいてもらえればいいんです。・・・それが"ゆとり"  教育の本当の目的。エリート教育とはいいにくい時代だから、回りくどいこと言っ  ただけの話だ    (斉藤貴男「教育の論点」)・・都教組グリーンパンフより  
◆中教審会長(当時)元文部大臣の いまさらの「反省」  
  「総合などが入ってきたので理科と数学は減らしすぎ」だ。だから今「私ですら頭をかかえこんでしまった」。責任は教育課程審議会にあり、「特に教育現場の意見をくみ取るようにすべきだ」    そこで、総合と選択を主要5教科に平等に分配を勧めたい。数学理科に主に充てれば私は大満足である。   (元東大総長も歴任)・・・・・・「論座」9月号

(4)学力低下(量と質)と競争の教育への批判と対案を
@「指導要領以上は学習してはだめ」と教科書を作らせた後、「これは最低基準。    出来る子にはどんどんやらせよ。そのためだけには金も人も出す」行政の姿は、   あからさまな「早くからの選別で超エリート育成だけが教育行政の中心課題」
大学・・・・・重点30大学だけ予算増。他は切り捨て。
高校・中学・・少数の中高一貫校。都立4校だけ受験指導の「達人」と土曜補習 東京では区立の中高一貫校も。 中学・小学校・全国1000校を能力別指導校に指定しそこだけ優遇措置。 加配の重点は、TTから習熟度別授業(能力別指導)へ
A新指導要領見直しを求める声が大きく広がっている。諸科学の学会、教育学会、マス コミ、学校現場からの批判の広がりの根底は、「勉強がよく分かり、楽しい学校を」 と願う保護者の願いに反するから。来年度は教科書を手にしてさらに広がるだろう。 世論動向を見ての報道は、  
8月29日:学習指導要領の10年編成見直し・学力低下懸念(朝日新聞)
10月27日:新学習指導要領全面中止求める:財界のシンクタンク(日本教育新聞)
12月1日:基礎基本の軽視学校現場に警鐘・国語力の重要性(日本教育新聞)
12月26日:基礎教養幼児期から徹底・読み書き計算など(朝日新聞)  
1月5日:「新指導要領で文部省は学力向上に力点」(読売新聞)   〜全体学力の低下懸念、能力別指導重視、総合は教科との関連考えて〜 ・ 文教政策は、以上のような明確な方針のもとに「学力低下」への世論動向に注視し つつも急ピッチで進められています。それは、教育基本法の空洞化ではなく、それか らの離脱である証拠に中央教育審議会に教育基本法の「改正」の諮問が出される情勢 を迎えました。
Bこうした動きの中で、都教組は「教育改革と学校づくりの課題」(ブルーパンフ)を  発行し、学習と討論をよびかけました。パンフで強調していることは、  「教育改革」の本質は、グローバルな市場経済の中で、日本の多国籍企業が大競争時代に勝ち抜くために必要な「たくましいエリート」を早くから選り分けること を学校教育の一番のねらいにしようということを歴史的に詳しく述べています。 そして、教育基本法学校づくりを打ち出しています。  私は、次の章では、それを具体化するために学校教育法に光をあて考えてみます。

3、憲法・教育基本法・学校教育法を生かす教育課程  

日本国憲法
第25条 生存権  第26条 教育権(生存権の中の一部としての教育権、教育の機会均等)   @すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて等しく教育を受ける権利を有する。   
財界・・人は生まれながらに能力に違いがある。   その能力に応じて   
国民・・どこまでも伸びるが、発達に違いがある。 → ◆その子のわかるやる方(能力)で、等しく普通教育を受ける権利がある。

教育基本法 第1条(教育の目的)    
教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正  義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身  共に健康な国民の育成を期して行わなければならない。
→ ◆教育の目的は「人格の完成をめざす」ことであり、どの子どもにもある人間としてのすばらしさを伸ばしてあげること。 人間は、よほど間違った教育を受けなければ、自分の幸せと人の幸せを一緒に統一して考える。(ユニセフ親善大使の黒柳さんのテレビで、わずかな配給物資を当然のことのように分け合う姿。) これをこわすのが、競争の教育である。(新自由主義)

学校教育法 第2章 小学校 第3章 中学校 (目的)   小学校 8項目の目標を提示。中学校はその上に立って普通教育を。    小学校は、心身の発達に応じて、初等普通教育を施すことを目的とする。  
→ ◆「普」遍的で共「通」に必要とされる内容を、どの子にも身につけさせる。   教育の内容を明示・・・普通教育(やったほうがいいというのでなく、やらなければならない教育 新自由主義=競争の教育=財界の求める教育       (質の悪い一種の専門教育)
小学校・・・・初等普通教育    
中学校・・・・中等普通教育
高校・・・・・高等普通教育と専門教育 @学校教育法では、  普通教育をどの子にも、そして基礎学力をしっかり身につけること が学校教育の中心課題。
( 条 文 )  第18条(小学校の目標)初等普通教育
理解して⇒能力が育つ
1,学校内外の社会生活の経験に基づき、人間   相互の関係について、正しい理解と協同、自主及び自律の精神を養うこと。  人間関係理解⇒自主・自律の精神   
2、郷土及び国家の現状と伝統について、正しい理解に導き、進んで国際協調の精神を養うこと。  社会の理解  ⇒国際協調の精神   
3,日常生活に必要な衣、食、住、産業等について、基礎的な理解と技能を養うこと。 技術家庭科の理解・技能   
4,日常生活に必要な国語を、正しく理解し使用する能力を養うこと。、 国語の理解 ⇒国語の使用能力   
5,日常生活に必要な数量的関係を、正しく理解し、処理する能力を養うこと。 算数の理解 ⇒数量の処理能力   
6,日常生活における自然現象を科学的に観察し、処理する能力を養うこと。 自然の観察 ⇒自然の処理能力   
7,健康・安全で幸福な生活のために必要な習慣を養い、心身の調和的発達を図ること。    健康安全の生活習慣  ⇒心身調和的発達   
8,生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸等について、基礎的な理解と技能を養うこと。 音楽・美術・文芸の理解・技能     

第36条(中学校の目標)中等普通教育
1,小学校における教育の目標をなお充分に達成して、国家及び社会の形成者として必要な  資質を養うこと。 小学校教育を土台⇒主権者の資質  
2,社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じ  て将来の進路を選択する能力を養うこと。 職業の知識・技能⇒進路選択能力
3,学校内外における社会活動を促進し感情を正しく導き公正な判断力を養うこと。 、その 社会活動⇒公正な判断力   

 学校教育法は、基礎的な知識を理解してこそ能力が伸びるという学力論に立ち、小中学校の教育課程のおおもと示す今に生きるすばらしい法律です。すべての学校が教育課程をつくる上で土台にしなくてはならない法令です。  知識の習得から離れた「新学力観」の「学び方が基礎基本」を克服する私たちの教育理論に確信を持てます。 また、学力とは、学習によって達成された能力です。能力とは物事をなし得る力・可能性です。(いずれも広辞苑より)  ここから、学習する内容の教育的価値を問わない(学習する前に「その子の興味・関心で課題を設定したり・選択する等の)総合的学習の時間の進め方は、子どもの能力の発達に責任を持たない・学校教育法にも反するものだとの批判の根拠もあります。

A都教組パンフを手がかりにした、職場・地域の学習・討議

その@ 「『教育改革』と学校づくりの課題(全29ページ)    パンフではまず「教育改革」は、子どもと教育を何処に導こうとしているのかを歴史的に検証しています。そして、学校づくりの取り組みへと進みます。
T、臨教審答申以来の政策と、「分からない子」・不登校・学級崩壊増加の実態   ・今日の「教育改革」の姿(財界の経済要求に沿った形で)
U、新学習指導要領と「教育改革」   ・教科の系統性も基礎学力も虫食いにした「厳選」の内容 ・「総合的な学習の時間」 次の教科再編への実験場 例示の4項目の検討(「改革」のねらいの具現化)    新学力観の展開の視点 「分かる」「できる」をくぐり抜ける中で身につく「学びび方」や「意欲・関心・態度」を学校教育法でいう「知識理解」から切り離して展開 ・多国籍企業の海外進出と「日本人のアイデンティティーと日の丸・君が代」
V、私達の課題   ・学校づくりの視点    安全で安心できる学校、人格の完成をめざす普通教育をどの子にも保障する    協力と共同、父母・地域住民と共に ・基礎学力を保障する教科教育とその論議のための「基礎学力試案」の提案 例:「普通教育をどの子にも」の視点は、「総合的な学習の時間」でも生きる  
@「命の大切さ」への保護者のアンケートの願いと、  
A理科で大切な「人の体」が削除(3年 私たちの体 4年 私たちの活動と体 5年  人や動物の誕生)を受けて、3年から6年まで全校での「命・生きる・性」学習

その2 「基礎学力試案パート1」(全54ページ)  
 都教組が、このパンフを発行した理由が冒頭次のように述べられています。  「基礎学力試案」をたたき台に「うちの学校の教育課程をつくろう」   これは、教育課程検討委員会で論議された報告を中心に、各教科で大切にしたい内容を整理して「基礎学力試案」としてまとめてあります。  もちろんここにまとめられた基礎学力はひとつの「試案」です。  ですから、みなさんがこれを素材に大いに論議を重ね、あるいは批判し、あるいは納得し、どの子にも身につけさせたい各教科の基礎学力の姿を、それぞれの学校で描き出すことを心から願っています。  素材といっても、この「試案」には、これまでの日本の民主教育が蓄えてきた実践と研究の成果や「語り部」たちの願いや想いがぎっしりつまっています。ぜひ採択された新しい教科書と見比べながら、ここに描かれた民主教育と「語り部」たちの、子どもと教育への熱いメッセージを読みとってください。 (中略)  その新学習指導要領が、父母や教職員を初めとする多くの人々の中に渦巻く不安や疑問、あいつぐ批判を押し切って、来年の4月から本格実施されようとしています。  「ブルーパンフ」「グリーンパンフ」は、そうした「愚民化」に対峙する民主教育からの提案の一つです。  この提案をたたき台にしながら、各職場・学校・地域での旺盛な自由闊達な論議を心から期待します。  

今回の教科試案@は、次の教科です。  
算数・数学(2名の方の試案、内容には論議になる相違点も)  小学校・中学校理科 (これだけの内容をと絞って提案)  
生活 (何のために何を教えるのか)
 図画工作美術 (ここをしっかりおさえたい)  
技術・家庭 (人間形成に役立つ内容、総合的な性格を生かす授業)  
小学校保健体育 (3つの実践課題)  
小学校国語 (教育課程づくりと授業の改善・改革について)    

 各教科で共通している事は、その教科の学習を通してどんな人間を育てるか(人格形成)というねらいと内容が短いスペースにもかかわらずきっちりと書かれていることです。  
 例えば、算数の項では、

 「算数が分かるということは、その答えの正しさを自分の頭で判断できるということである。この自己決定、自己判断の積み重ねが自分への自信を作り出す。  子どもが算数を好きになるのは、算数がこのような学びを作り出しやすい特徴  を持っているからである。またこのような学びの過程で身に付く算数・数学に よって、それなしには見えなかった世界がみえるようになる。国民の数学的知  性を高めることは文化性や洞察力を高めることである。また科学技術の発展の ために欠かせない。そして、小中学校ではすでに一般化された高校教育を展望  しながら、基礎基本をしっかりと国民に保障しなければならない。では、基礎  基本とは何か、新指導要領を批判しながら述べることにする。・・・」

  この問題意識は、レポート冒頭の教育懇談会に参加された医師の言葉とぴったりと符合します。算数を学習することがどんな意味を持つのかが教師の立場から、、またかつての児童(今の大人)から語られているからです。  実際、今の指導要領のもとでも学力が身につかないことが各地の研究会で先生方からたくさん報告されてきました。
 ある中学では、1年生に小学校の各学年の計算問題の実態調査を行いそれをもとに全 校での取り組みも報告されました。その調査によれば、
(132名の生徒)
小学校3年生の問題 誤答率   9%
小学校4年生の問題 誤答率   26%
小学校5年生の問題 誤答率   33%
小学校6年生の問題 誤答率   30%  
 実に4年生の内容は4人に1人が、5・6年の内容は3人に1人が理解できないまま「その土台」のうえにたった中学校の勉強に向かっているのです。  

 こうした現状の中で、都教組は主権者として必要な学力とは何かの論議を提起しました。さて、来年度の教育課程への各学校の論議で話題になってきた事は、
小学校 ・週時程をどうするか(6時間目が1回案の学校から3回案の学校まで) ・通知票(関心意欲、総合の評価)  
中学校 ・選択教科と総合の内容と振り分け ・持ち時数について  

 これらの問題は、子どもや地域の実態を共通理解し、「どんな力をこの学校の子どもにつけるのか」という教育課程の合意づくりの中から決めていく問題です。  一方、そうした学校の話し合いに「しばりをかける」各市の教育委員会の行政指導はバックボーンの新指導要領への批判の高まりをゆがんだ形で反映し、市によって重点も様々です。強い行政指導で来年度は教職員の声を押さえ込んだ部分があったとしても「よく分かり楽しい学校を」という国民の願いから離れた路線は続きません。  こうした教育課程の論議の土台としてこのレポートを各地で報告してきました。 あの教科書問題での教訓は、狭い学校現場や市教委とのやりとりでなく、大きな市 民的な土俵の中で問題になり、市民の関心と行動の高まりで侵略戦争賛美の教科書を 各市に持ち込ませなかったことです。どんな学校をつくるのか、その論議もまた学校の合意づくり、そして教育懇談会を始め様々な市民的論議が求められます。教育は国民全部の問題ですから。そうした時の私達の姿勢を都教組北多摩西支部のパンフでは最終ページのようにまとめました。

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