乳がんの症状について

自分で発見する乳がんの約80%は「しこり」がきっかけで見つかります。ただし「しこり」が全て乳がんではありません。「しこり」を感じて乳腺外来を受診される方の約90%は良性のしこりですから、、大事なことは「しこり」を発見して一週間してもそのしこりが変わらないようであれば必ず乳腺専門医を受診することです。「案ずるより産むが安い」です。不安であれこれ独りで悩むより思い切って受診してください。私のホームページの最大の目的は「もしかしたら乳がんかもしれない?」といらぬ不安を感じて、病院にもいかず独りで悩んでいる女性が勇気を出して病院を受診する「きっかけ」となれば嬉しいなと考えています。

では乳癌によくある症状について説明していきます。


しこり

乳がんのしこりはどのように感じるのでしょうか?残念ながら皆様が触っただけでそのしこりが良性のものか悪性のものかを区別することは出来ません。乳腺専門医でさえもしこりを触っただけで、乳がんと確信できるものは少ないです。そこでマンモグラフィー(おっぱいのレントゲン写真)や超音波(肝臓などを検査する超音波と同じもの)などの検査が必要になってきます。参考までに乳がんのしこりの触診上の特徴を示します。「しこりの表面がごつごつしていて、しこりの境界が比較的不明瞭。しこりが乳腺の中で動きにくい。」このようにしこりが感じるときは要注意です。何度も申し上げますが、触診は難しいので「自己触診」はしても、決して「自己診断」はしないで下さい。しこりを感じたら乳腺専門医を受診してください。不思議なことですが、しこりを感じて受診して調べてみると、実はしこりを感じていた部分とは違う場所やもう一方のおっぱいに早期の乳がんが見つかると言うケースも少なくありません。しこりを感じるのも神様が教えてくれる何らかのサインとでも考えて是非とも勇気を出して、乳腺専門医を受診してください。宜しくお願い申し上げます。


血性乳頭異常分泌

しこりの発見と並んで乳がんの症状で重要なのが、乳首からの異常分泌です。乳汁様や黄色などの分泌物はまず問題ないです。問題なのは図1のような血性の場合です。また重要なのは、異常分泌が両方の乳首からではなく、片方からだけの乳首で、特にある特定の一箇所の乳管口から出ているときは特に注意が必要です。乳管内にはっきりした病変があることが多く、約1/4は乳がんである可能性があります。非浸潤癌のサインであることも多く、もし乳がんと診断されても非浸潤癌の場合は99%完治します。このような症状がある場合も必ず乳腺専門医を受診しましょう。同様の症状を伴う良性疾患としては乳管内乳頭腫があります。


図1 乳頭血性分泌


えくぼ症状

おっぱいの皮膚の一部がひきつれ、外見上、図2のようにくぼんで見えることがあります。

これはがんが周囲の組織を引き込んで皮膚が引っ張られて「えくぼ」のように見えます。つまりえくぼ症状の真下やすぐ横に比較的大きなしこりが触れると思います。通常、良性疾患ではえくぼ症状を伴いませんので、このような症状がある場合は、すぐに乳腺専門医を受診してください。


図2 えくぼ症状


基本的に痛みはありません。

乳がんのしこりは通常、痛みを伴いません。腫れや炎症もなく見ただけではわからない場合が殆どです。ただししこりが大きくなり、周囲の正常組織を圧迫するようになると乳がんのしこりによって痛みを伴う場合もあります。このような場合はしこりが大きいのでしこりとして一般の方でも触診上、しこりとして容易にわかると思います。でも不思議なことに痛みで受診して調べてみると痛みとは関係の無い場所に乳がんが見つかる場合もあります。心配であれば必ず乳腺専門医を受診してください。


すでに遠隔転移している場合の症状

どこに転移したかにより症状が異なります。遠隔転移の初期は基本的に殆ど症状がありません。ですので症状が出ると言うことはかなり進行している可能性が高いです。

肺転移では転移が大きくなると、一日中継続する「頑固な咳」が出ます。また胸膜の近くに転移した場合は、胸水がたまって、走った際や階段を上る際に、「息切れ」を感じたりします。また肝臓への転移もなかなか症状は出ません。転移巣が大きくなった場合、「お腹が張ってみぞおちに圧迫感」を感じたり、「黄疸」といった症状が出てきます。骨転移も初期は無症状ですが転移巣が大きくなると「転移部位の痛み」が出現します。よく筋肉痛などを骨転移による痛みではないかといわれる方が多いですが、骨転移はその痛みの部分を叩くと痛みが増強します。一概には言えませんがこの方法で骨転移かどうかはある程度区別できます。また骨転移が大きくなると痛みに加えて「病的骨折」の心配が出てきますし、脊椎への転移が進行すると下半身麻痺になることもあります。また脳転移では「頑固な吐き気」、「頑固な頭痛」「長く続くふらつき」が比較的初期症状として出現します。転移巣が大きくなれば「痙攣」や「四肢の運動機能低下」といった症状が出現します。こういった症状が出てからでも遅くはありませんので治療を始めれば症状はぐっと良くなることが多いです。詳しくは乳がんの再発のコーナーを参考にしてください。