細胞診、組織診とは?病理検査とは?

まず病理検査について説明します。病理検査とはしこりから細胞組織を採取して、顕微鏡で調べる検査です。病理検査は裁判で言えば最高裁判所の判決のようなものです。例えばこの「しこり」は触診や画像診断などの「状況証拠」から「がん」が強く疑われるが、最後の決め手になるのは病理検査による「物的証拠」です。ですので病理検査なしにどんなに優秀な医者も「がん」だと確定診断することは出来ません。最高裁判所の判決には誰も逆らえないのと同じです。それぐらい病理検査は重要なのです。

乳がんにおける病理検査は大きく分けて細胞診組織診に分かれます。下の図を参考にして下さい。

               図1 病理検査について

細胞診とは?

まず乳がんが疑われる所見があった場合、細胞診を行います(施設や場合によってはいきなり組織診する場合もあります)細胞診とは、細い針を直接しこりに刺して(麻酔も要りません)しこりから細胞を吸引採取して顕微鏡で観察する穿刺吸引細胞診と乳頭からの分泌物をガラスの板にこすり付けて採取した細胞を顕微鏡で観察する分泌物細胞診があります。細胞診の判定は5段階のクラス分類で行われていましたが、20046月からよりわかりやすくするため、判定の表現が変わりました。まず、きちんと一定量の細胞が採取できているかによって、「検体適正」または「検体不適正」の評価をし、次に細胞所見として「正常あるいは良性」「鑑別が難しい」「悪性の疑い」「悪性(がんと確定)」と示されるようになりました。  
 細胞診は簡単にできる検査ですが、偽陽性(本当はがんでないのにがんと診断する)や偽陰性(本当はがんなのにがんでないと診断する)が比較的多いため細胞診だけを根拠に乳がんと診断してしまうのは危険なときがあります。特に乳腺の細胞診はそれを診断する病理医高度な知識と経験が必要なため病理医全員が診断できるわけではありません。つまり、かなり精度の高い検査ではあるが、視・触診、マンモグラフィー、超音波検査などによる診断を補助するものであると考えられています。細胞診と他の検査の結果が一致しない場合や乳腺の細胞診を見る病理医のいないところでは組織診を行うことが必要になってきます。ですので注意してもらいたいのは「細胞診は100%確実ではない」ことを知っておいてください。

組織診とは?

組織診では細胞を塊(組織として)で採取できるので、細胞診よりも情報量も多く、確実に診断することが出来ます。組織診の診断はほぼ100%間違いありません。しかし、局所麻酔が必要で細胞診に比べて、身体的負担も若干多いので、何度も行うことは出来ません。組織診には図1ように3種類あります。

太目の針(約1mm)を用いる組織診を「針生検」といい、超音波などでしこりの位置を確認しながら針を刺し、その一部の組織を採取します。

針生検よりも太い針(約4mm)を用い、自動的にしこりの組織を吸引する「画像ガイド下吸引式生検(マンモトーム生検)」と言う方法もあります。このマンモトーム生検は特にしこりとして触らないがマンモグラフィー上、乳がんに特徴的な微細石灰化を有する病変から組織を採取するのに大変有効な方法です。マンモトーム生検は2004年より保険適応にもなり、ますます乳がん診断上、重要な役割を担っていくと思われます。

従来の外科的にしこりを切除して顕微鏡で調べる方法を「外科的(切開)生検」と言います。他の組織診に比べて傷が大きく残るなど問題も多く、マンモトーム生検の普及により以前に比べて行われる事も随分少なくなりました。