乳房再建術とは
アメリカでは乳房再建術が終わって、初めて乳がんの手術が終わったと言われています。不運にも乳がんと診断され、手術を受けなければならない時、乳房再建術を受けるという選択肢があることを覚えておいてください。乳がんと診断されたときは目の前が真っ暗で何をどう考えていいか分からないと思います。しかし少し時間が経てば女性の象徴であるおっぱいを失ってしまうまたは形が変わることへの精神的、肉体的重大さに気付かれるかもしれません。そのときに乳房再建術があるのです。乳房再建術を受けることによりご本人以外にも家族や親しい方にも元気が出てくると思います。
乳房再建術を受けるに当たって考えないといけないことは大きく分けて3つあると思います。
1、いつ受けるか?
2、どの方法で行うか?
3、費用はどれくらいかかるのか?
いつ乳房再建術を受けるのがいいのか?
二つの方法があります。
1、 乳がん手術と同時に行う(T期再建)
2、 乳がん手術後、しばらく時期を置いて行う(U期再建)
まずT期再建は手術が一回ですみ、再度手術をする必要がありません。ただし一方で、乳がんの告知を受けて、多くのことを短期間に考えなければならない中で、冷静に再建術まで考えるのはなかなか難しいと思います。十分なインフォームドコンセントと再建術への理解がないと後悔するかもしれません。また費用の点でも問題が在ります。基本的には再建手術は保険がきかない自由診療のことが多いです。現在、自由診療と保険診療を組み合わせた混合診療は認められていません。つまり同時に手術すると本来なら保険がきく乳がんの手術まで保険がきかない自由診療になってしまいます。
U期再建は確かに二度手術を受けなければいけませんが、乳がんの手術後、色々と考えて、また情報を仕入れて、準備万端で決断した方が後悔が少ないようです。具体的には乳がん手術後半年から2年ぐらいで再建術を受ける方が多いです。U期再建の方が一般的です。
どのような再建方法があるのですか?
大きく分けて3つあります。
1、
人工物を挿入する方法
2、
自分の組織を移動する方法
3、
1、2の併用
人工物を挿入する場合、まずは皮膚を反対側の乳房につりあう大きさまで引き伸ばさなければなりません。手術跡を切開し、風船のような袋(エキスパンダー)をしぼんだ状態で挿入します。そしてそのエキスパンダーに生理食塩水を少しずつ注入していきます。2週間に一度の割合で注入していき、エキスパンダーを徐々に大きくしていきます。反対の乳房の大きさまで引き伸ばされるのに約1−3ヶ月を要します。その後、乳房をやわらかくするためそのまましばらくエキスパンダーを入れた状態にします。そして最後にこのエキスパンダーを抜去し、代わりに人工乳房(シリコン)を挿入します。エキスパンダー挿入ならびにシリコンの入れ替えは日帰り手術で可能です。
自分の組織を移動する方法には大きく分けて
A, 広背筋皮弁法
B, 腹直筋皮弁法 があります。
A, 広背筋皮弁法は自分の背中の筋肉(広背筋)、脂肪、皮膚をおっぱいの部分に移植します。つまり適応としては人工乳房だけでは再建できない場合で、つまり、残っている皮膚が少ない、放射線照射の影響で皮膚が伸びない、人工乳房を希望しない場合などに行われます。手術には数時間をかかり、一週間から10日程度の入院が必要です。

B, 腹直筋皮弁法は自分のお腹の筋肉(腹直筋)、脂肪、皮膚をおっぱいの部分に移植します。この方法はすべての乳房再建術の中で最も侵襲が大きく患者さんの負担も大きいですので適応としては本人の強い希望がまず必要です。医学的適応としては広背筋皮弁法と同じく残っている皮膚が少ない、放射線照射の影響で皮膚が伸びない、人工乳房を希望しない場合などに行われます。入院は最低でも2週間、普通の生活に戻るのに1〜3ヶ月かかります。侵襲が大きいですが、出来上がったおっぱいはやわらかく自然です。

乳首はどうなるのですか?
乳房再建が終わって、新しいおっぱいが落ち着いた頃(数ヵ月後)新しいおっぱいにも乳首を作ります。最も一般的な方法は反対側の乳頭、乳輪を半分移植する方法です。この方法は保険適用されます。ただし乳頭、乳輪の小さい方や正常の乳頭、乳輪を触りたくない人は、入れ墨を用います。
費用はどれくらいかかるのですか?
乳房再建術に関しては全てが医療保険の対象にならないのもひとつの大きな問題です。
保険適応となる再建術は自分の組織で再建する腹直筋、広背筋皮弁術、乳頭乳輪を半体側から移植する再建術です。
人工物を使用する手術は自費になります。施設によって費用変わりますが、人工物挿入による乳房再建術で約100万円、入れ墨による乳頭乳輪作成術で約20万円です。詳しくは直接医療機関に相談してみてください。