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不動産所得 進藤幸次郎税理士事務所
 

 

 1 不動産所得とは

不動産所得とは、不動産の貸付(土地の貸付、貸家の貸付、アパート経営)や不動産の上に存する権利の貸付(地上権、借地権など)、船舶または航空機の貸付けによる所得をいいます。
 

<不動産所得とされない場合>

@ アパート、下宿等で食事を供さない場合の所得は、不動産所得ですが、食事を提供する下宿の場合の所得は、事業所得又は雑所得になります
A 月極め駐車場は不動産所得となりますが、時間極め駐車場は事業所得又は雑所得となります。
B 広告等のため、土地、家屋の屋上又は側面、へい等にネオンサインや広告看板を取り付けさせることによって受ける使用料は、不動産所得になりますが、浴場内、飲食店内の掲示広告の収入は事業所得になります。
C 従業員宿舎の使用料収入は事業付随収入から、事業所得となります。
D 自動車・機械などの動産の貸付による所得は、事業所得・雑所得とされます。
E 権利金収入は、通常不動産所得となりますが、建物等の所有を目的とする借地権の設定に係る権利金収入で、かつ権利金の額が土地の価額の2分の1を超える場合には、その権利金収入は、譲渡所得となります。
  

 2 不動産所得の計算方法

不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除して計算します。青色申告者は、さらに青色申告特別控除額を控除します。
不動産所得の金額=総収入金額−必要経費−青色申告特別控除額
 

(1)

総収入金額

不動産の総収入金額には、資産の貸付けの賃貸料収入のほかに、次のようなものも含まれます。
@ 名義書換料、承諾料、頭金などの名目で受領するもの
A 敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
B 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など
 

(2)

収入金額の計上時期

収入金額の計上時期は、賃貸借の契約などによってその年の1月1日から1 2月31日までの間に収入すべき金額として確定した家賃、地代、賃貸料などの金額です。
 
区    分 収入の計上時期
契約書等で支払日が定められているとき 定められた支払日
支払日が定められていないとき 実際に支払を受けた日
家屋又は土地を賃貸することにより受け取る権利金・礼金・名義書換料・承諾料・更新料 引渡しの必要なもの 引渡しの日
引渡しの必要のないもの 契約書の効力発生日
敷金・保証金 全額返還する場合 収益に計上する必要なし
返還を要しないもの  返還を要しないこととなった日
供託金 賃貸借契約の在否について係争の場合 判決や和解等があった日
家賃の増額請求に関する係争の場合 定められた支払日(実際に支払を受けた日)

 3 不動産所得の必要経費

必要経費となるものは、
  @ 不動産収入を得るために直接要した費用の額
  A その年に生じた一般管理費その他業務上の費用の額
   

(1)

必要経費の算入時期

必要経費は、現実に支払った金額ではなく、その年分において支払うべき債務の確定した金額によって計算します。
 
@ その年の12月31日までに債務が成立していること
A その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
B その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること
 

(2)

必要経費の各科目の具体例

科目 内 容 及 び 注 意 事 項




 
@ 必要経費になるもの
固定資産税、不動産取得税、登録免許税、事業税、自動車税、印紙税などの業務に関連して納付する税金
A 必要経費にならないもの
所得税、住民税、延滞税・加算税、地方税の延滞金・加算金、国民健康保険税などの税金の納付額、国民年金の保険料
罰金、科料、過料、交通反則金などの納付額
  




 
@ 必要経費になるもの
賃貸している建物等の火災保険料
A 必要経費にならないもの
自宅や店舗併用住宅のうち賃貸事業用でない部分(損害保険料控除の対象になります)
農協の建物共済や長期総合保険などで積立部分のある損害保険料は、積立部分は必要経費に算入できません。
 





@ 定額法による減価償却の計算方法
減価償却費の額=取得価額×90%×耐用年数に応ずる償却率
取得価額の消費税処理→納税者の経理方式により判定する。
免税事業者の場合は、税込み方式による。
A 〈中古資産の耐用年数の計算式〉
耐用年数が全部を経過したもの
(法定耐用年数×0.2)=耐用年数
(1年未満切捨て)
耐用年数が一部を経過したもの
(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×0.2=耐用年数
(1年未満切捨て)
B 少額減価償却資産等の取扱い
取得価額   償却方法
10万円未満 取得した年度で全額必要経費算入(即時償却)が可能
10万円以上〜20万円未満 一括償却資産として3年間で3分の1ずつ均等償却(残存価格なし)
30万円未満 青色申告者で、平成24年3月31日まで取得の場合は、取得した年度で全額必要経費算入(即時償却)が可能
但し、業務の用に供した年分の少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円が限度となります。
 






 
@ 明らかに資本的支出となるもの
固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなる部分
建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
用途変更のための模様替えなど、改造又は改装に直接要した金額
A 明らかに修繕費となるもの
固定資産の通常の維持管理費用、または毀損した固定資産の原状回復費用
原状維持のための家屋や壁の塗り替え、ベランダの手摺り等のペンキの塗替
家屋等の損傷した床、畳、瓦、ガラス、障子、ふすまなどの取替え、ドア、トイレ、台所、換気扇の修理、部屋の改装工事
消火器の詰替、法律制定に伴う防災設備である消火栓の取替費用
建物の移設費用(移築後の建物は移築前の建物と同一の規模及び構造のもので、旧資材を70%以上利用した場合に限る)
地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額。(土地の取得後直ちに地盛りを行った場合など一定の場合を除く)
建物等が地盤沈下により海水等の侵害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額。(明らかに改良工事であると認められる部分の金額を除く。)
現に使用している土地の水はけをよくする等のために行う砂利、砕石等の施設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額。
一の修理、改良等のために要した費用の額が20万円に満たない場合
その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情から見て明らかである場合。
 




@ 賃貸する建物等を取得するために、金融機関等から借入した借入金の利子は必要経費になりますが、借入金の返済額のうち、元本に相当する部分は必要経費になりません。
A 業務開始前の期間に係るものは、取得価額に算入します。
B 信用保証協会に支払う保証料は、一括して必要経費に算入できません。
保証期間の期間按分により必要経費に算入します。
C 不動産所得で赤字が生じた場合には、土地取得に係る支払利子に相当する部分は、損益通算の対象になりません。
 
  

必要経費と家事関連費

個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費という。)となるものがあります。
この家事関連費のうち必要経費になるのは、次の金額です。
@ 主たる部分が業務をしていく上で必要であり、かつ、業務に必要である部分を明らかに区分することができる場合のその区分できる金額
A 青色申告者で、取引の記録などに基づいて、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分することができる場合のその区分できる金額

家事関連費のうち部分的に業務に関連して必要経費になるもの
店舗併用住宅の減価償却費、火災保険料、固定資産税、借入金利子
電気、ガス、水道料の水道光熱費
車の減価償却費、保険料、修理代、ガソリン費
飲食費等の交際接待費
 

 4 事業的規模の判定

不動産の貸付けが事業として行われているかどうかによって、
@専従者給与の必要経費算入、A固定資産の除却損失の必要経費算入
B貸倒損失の必要経費算入、C青色申告特別控除の適用、D延納利子税
の必要経費算入に関係してきます。
 

(1)

事業的規模の判定

不動産貸付けが事業的規模 かどうかは、社会通念上の事業的規模で行われているか どうかにより判断します

@

社会通念上の事業的規模とは、次により判断します

貸付資産の規模
賃貸料の収入状況
貸付資産の管理の状況等
 

A

上記の判定が困難な場合

建物
貸間・アパートについては10室以上
独立家屋については5棟以上
(注) (@) 共有している場合の判定
共有者がいる場合は、共有持分で按分した客室・棟数ではなく、実際の客室・棟数により判定します。
(A) 独立家屋とアパートの両方を持っている場合
貸室と貸家を両方所有している場合は、貸室2室を家屋1棟と換算して判定します。
独立家屋2棟とアハ°ート8室の場合は、2棟+(8室÷2)=6棟と計算します。
貸地
土地の貸付件数については、建物1室の貸付を「概ね5」と換算して判定します。
駐車場は5台で1部屋と換算されることから、賃貸用駐車場を50件以上貸しておれば事業的規模になります。
 

(2)

固定資産の取壊しや除却の資産損失、回収不能による貸倒損失

@ 固定資産の取壊し・除却
事業的規模の場合 全額必要経費算入
事業的規模以外の場合 その年の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費
   
A 回収不能による貸倒損失
事業的規模の場合 貸し倒れによる損失の全額が必要経費算入
事業的規模以外の場合 収入に計上した年分にさかのぼって回収不能に対応する所得がなかったものとして扱われます
 

 5 事業専従者給与等・青色申告特別控除

(1)

事業専従者給与・青色事業専従者給与

不動産所得の計算上、事業的規模の場合と事業的規模以外の場合とでは、事業専従者給与青等についての税務上の取扱いが異なり、事業的規模でなければ生計を一にする親族に対しての給与は認められません。
 
事業的規模の場合 事業的規模を有しない場合
必要経費算入 必要経費として認められない

区  分 必要経費算入額
白色申告者 事業専従者給与 次のいずれか少ない金額
50万円(配偶者の場合には86万円)
この規定適用前の事業所得等の金額/事業専従者の数+1
青色申告者 青色事業専従者給与 「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載されている金額の範囲内
 

(2)

青色申告特別控除

10万円控除 青色申告の届出を提出すれば事業的規模または事業的を有しない場合でも適用を受けることができます
65万円控除 次の要件を満たしていること
事業的規模を有すること
複式簿記により記帳していること
期限内申告し、貸借対照表、損益計算書を添付し、適用を受ける金額を記載すること
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