コレステロール新事実

「五万人の調査で判明した危険因子、常識が変わる」
と題された今回の放送。
どんな新事実がわかったと言うのでしょうか?

「コレステロールとは何か?」
ためしてガッテンでは以前にもコレステロールについて放送していたらしく、これについては私は見ていないので何とも言えないのですが、ここでは簡単に説明がありました。コレステロールは50年前から研究がはじめられ、当時はどういう作用があるのかということがわかっていなかったそうです。「ヒョレステリン」と当時は呼んでいたそうで、クイズに答えた山瀬まみちゃんは正解でした。


ちなみに当時は動物性脂肪の摂取量が少なく、脳出血で死亡する確率が高かったために「脂質所要量」というのがあったぐらいです。コレステロールは高ければ動脈硬化を促進させるので、狭心症、脳梗塞といった血管の老化に関係する病気のリスクを高めるのですが、コレステロールは細胞膜の原料になったり、血管壁を丈夫に保ったり、性ホルモン、ステロイドホルモン、胆汁酸の成分になったりという大切な働きがあるために少なすぎてもいけません。


続けてコレステロールについての問題です。小野アナは総コレステロール135mg/dlなのですが、高コレステロール食を食べた翌日の総コレステロールの値はいくらか? 答えは「変らない」でした。食事内容が高コレステロールでも、それを体内でうまく調整できるんだそうです。しかし3日目からは上昇傾向を示し最後は180まで上がったとしていました。コレステロール自体は食べ物ばかりでなく肝臓で7割が作られますので、短期間または1回で大量に高コレステロール食を食べても血液中の値は急激に上昇はしません。実験は1人ですが、これは当然です。



「コレステロールを下げる油」
ここで、市販されている食用油の中で、「コレステロールが気になる方へ、コレステロールを下げる」という表示のある油に注目し本当かどうか検証しています。メーカーの実験では確かに総コレステロール値は下がっていました。なぜ下がるかの説明では、コレステロールを下げる油には植物ステロール(植物の細胞を作る材料)が入っていて、これが動物のコレステロールよりも吸収しやすいから数値が下がるとしていました。この植物ステロールは血液中に入っても結果的には全て排出されるんだそうです。


では、「植物ステロールは食べれば食べるほど良いのか?」ということで三沢さんという、以前血糖値の実験に協力してくれた中年の男性で再実験です。結果は逆に上昇してしまいました。なぜかというと、実験前の食事は1日1500Kcalであったのに、油を使ってとんかつなどを食べた結果2500Kcalに急増したからです。結論として、食事内容が変わらずに油だけを植物ステロ−ル入りのものに変えれば確かに下がるが、食べ過ぎてしまえば逆効果だということです。これは私も危惧していた事で、花王のエコナのCMには子供がから揚げにカブリつく場面が出ますが、誤解しなければいいがといつも思っていました。



「コレステロールはなぜ簡単に下がらないのか」
ということで、まずはなぜ上がるかの説明です。コレステロールは食事以外にも肝臓で作られ細胞に届けられるのですが、その時に細胞内に十分なコレステロ−ルの量があれば血液中にあふれるとしていました。では下げるにはどうしたら良いかということで出てきたのが、まずコレステロールを運動で消費するということで、次に大豆製品や食物繊維、DHAやEPAを多く含む背の青い魚を積極的に食べればいいということです。それでダメなら最後の手段はクスリだとしていました。実に素直でわかりやすい展開です。



「下げすぎは危険」
ここで新聞記事が出てきました。それによると「コレステロールを薬で下げすぎると死亡危険度が3倍に」という大きな見出しで書かれていました。そこでまずは総コレステロール上限値がアメリカ240mg/dlなのに日本では220mg/dlと厳しい事を踏まえたうえで、HDL(善玉コレステロール)、LDL(悪玉コレステロール)の比率にも注目していました。それによると日本人はHDLの比率が高く、アメリカの上限値よりも高くてもいいのではないかという疑問も出ていました。


これは私が考えるに、やはり民族の違いが大きく関係していると思います。日本人はもともと農耕民族ですので穀物主体の食生活を何万年も続けてきたのですが、アメリカは狩猟民族ですから動物性脂肪をたくさん摂取することに身体が適応しています。ですからアメリカの基準をそのまま当てはめていたのでは、当然民族的な背景から身体の異常が現れるのが早いということです。糖尿病が端的な例ですが、いずれにしても今の肉類中心の食生活は考え直す必要がありそうです。またワインが動脈硬化の予防に関係しそうということであっても、ワインをがぶ飲みしてステーキをたらふく食べていたのではとても健康などとはいえません。


ここで大規模な疫学調査の紹介です。医師6500人で50000人の患者を1993年から1999年まで追跡調査をしていて、LDL/HDLの値と動脈硬化の危険度を算出していました。この調査は今も継続しているそうです。こういう数字というのは非常に信用性が高く、数人の実験結果でワイワイガヤガヤ遊んでいるどこかの娯楽番組とは大違いの内容です。ここでは、高血圧、高血糖、喫煙の危険因子が加わると危険度が跳ね上がるということを解説していました。


最も危険が少ない「LDL/HDL=2.3=危険度1」を基本とした動脈硬化危険度
LDL/HDLの値 2.3 4.7
コレステロールだけ高い危険度 3.3 6.4
コレステロール、高血圧 2.4 16
コレステロール、高血圧、高血糖 5.1 10.3 16.6 32.9
コレステロール、高血圧、高血糖、喫煙 9.3 18.6 29.8 57.3

先ほどの新聞記事では薬で40mg/dl以上総コレステロール値が下がれば死亡の危険度が2.5倍になるとしていましたが、日本動脈硬化学会の先生が出てきて薬で下げすぎると危険かどうかについて説明していました。それによると、下げすぎれば危険と言うのではなく、肝臓疾患やガンなどの他の原因がある人が相対的に下がりすぎる傾向があるので、薬が良く効いて下がったからといって危険だと言うわけではないそうです。


「どうすればよいのか」
以上の様な結果から、コレステロールはHDLとLDLの比率が大切であり、総コレステロールは240以上になると危険度は上がるので気をつけること、高血圧、喫煙、高血糖の場合はさらに危険であることが出てきました。対処法について詳しく解説がなかったのが惜しまれますが、非常に信用できる番組内容です。



今回の感想
さすがはNHKというすばらしい内容でした。コレステロールを下げる食用油を手放しで奨めることなく問題を指摘するとか、確かなデータに基づく解説など申し分ありません。どこかの学芸会番組は見習って欲しいものです。




ためしてガッテン万歳!
ツッコミできませんって