「マイナスイオン健康パワー大検証」と言う今回 どんなパワーがあるというのでしょうか?・・・さあ〜
はじめに
私はマイナスイオンなんて聞いたら空気清浄機やマイナスイオン発生器しか思い浮かびませんが、これが科学的に健康増進に役立つと言う証明はされていませんし、承認を受けた(効能効果を表示できる)医療器具としては存在しません。検索エンジンで「マイナスイオン」と入力すると、マイナスイオン発生器の販売に関するホームページのオンパレードで、やれ他社と比較して当社の方が優れているだとか、空気清浄目的で導入された病院での実績をあたかも疾病の治療に使われているかのようなまぎらわしい宣伝をしていたり、「病気の治療に役立つ」と、堂々と薬事法違反を行っている業者もいて、何も知らなければ思わず手を出してしまう人もいるかもしれません。そんな今回は、マイナスイオン発生器の販促番組と見るのが妥当なところです。それでは見ていきましょう。
「マイナスイオンとは」
ここは導入です。現在の豊かな生活の代償として、大気汚染、砂漠化現象、オゾン層の破壊、電磁波の増加などがあるとし、それらに共通するキーワードはプラススイオンだそうです。この導入からして賢明な視聴者は気付いたことでしょう。「はは〜ん、これはマイナスイオン発生器の販促番組だな」と。しかし疑うすべを知らない大部分の視聴者は踊らされるのが目に見えています。
そして空気のイオン量は大自然でプラスが50、マイナスが2500だそうで、これが都会になるとプラスが80、マイナスが1200と減っているそうです。ここではイオン一辺倒になっていますが、アスファルトで埋め尽くされ、排気ガスや工場のばい煙などで空気が汚く、自然の植物や土が持つ自浄作用のない都会は確かに健康には芳しい所ではありません。生活するには多少の不便はあっても田舎がいいものです。私の町は四方を山に囲まれていて、空気はきれいだし水もうまい。ただ重大な問題は若い女性がいないということです。ですが、いいですよ田舎は(泣)
続けて外だけでなく、パソコンが並んだオフィスや地下街、家庭でもプラスイオンが過多で、そういう実例を見せた後「現代はイオンバランスがおかしくなっているのです」だそうですが、ここで毎度の脅し。「イオンバランスが崩れると疲労感や倦怠感、不眠、イライラなどの症状が現れる」とし、他にもシックハウス症候群、アトピー、生活習慣病がイオンバランスの乱れで起きると考えられる」と東京都立大学、琉子助教授が発言していました。今回はどうやら多額の謝礼金に思わずハッスルしたこの助教授だけの説に基づいて番組を構成したようです。
ではどうしたら身を守れるか?ということで登場したのが推定体重100kgの巨デブ大山皮膚科クリニックの大山院長。ブーブーと鼻を鳴らしながらコメントしていました。「マイナスイオンを吸ってもらうことで皮膚や身体の新陳代謝が促進するのです」だそうですが、イオンや健康がどうこう言う前に自分の身体を見てみなさいよ。
ここからは人をコケにしたような番組テーマに乗せて今回のダイジェスト。「2002年の健康のキーワードはずばりマイナスイオン」だそうですが、この番組は毎回キーワードだのなんだのかんだの、かんだら痛いじゃないですか。
「あなたの身体を根底から揺るがすプラスイオンの悪とは?」「マイナスイオンで気になる症状は改善できるのか?」「あるあるイオンバスターズがあなたの家を改善します」という3つのテーマだそうですが、マイナスイオンで全てが解決できると言う、もはやこの番組の定番ともいえる展開。極端な脅し→うんちくをたれる→ふざけた実験→解決法、という毎度毎度のくだらない考察。
「イオンとは何か?」
「あなたの身体をむしばむプラスイオンの恐怖を大検証」だそうですが、この番組が毎回このような脅しをかけるのはいつものことで、視聴率競争にむしばまれているのは番組スタッフということです。
そもそもイオンとは電気を帯びた原子や分子で、例えば水は水素のプラスイオンと酸素のマイナスイオンがくっついた状態だそうです。まずここからしておかしな説明。水は電子のやり取りをすることなく、お互いに電子を共有しあって安定しており、共有結合と呼ばれる状態です。ですから番組の言うイオンが引き合ってくっつくというのは明らかな間違い。
ここで国立横浜大学、佐藤教授のコメントです。「基本はプラスとマイナスが必ず釣り合っている、ずれるのはおかしな状態です」だそうですが、これを受けてナレーション「そう、イオンバランスが崩れると様々な症状が出るのです」としていました。よく聞けばわかるのですが、物質の状態をコメントした佐藤教授とナレーションにはなんら関係がありません。こういう手法はよく使われるものですが、おかしいじゃねーか。
ナレーション
「肩こり、腰痛、高脂血症、イライラ、どろどろ血、糖尿病などは、イオンバランスの崩れが原因の一つと言われています」
と、番組が勝手に言ってます
ここは器械を提供したマイナスイオン発生器のメーカーから要請があったのだろうな
これを真に受ける人もそうそういないとは思いますが、生活習慣、特に食生活が原因の生活習慣病予防に「イオンバランスを整えましょう」などとは政府が推奨している健康作りの指針「健康日本21」などでは一言も言っていませんし、根拠の曖昧なものが取り上げられるはずもありません。一体何をやっているのやら。
ここでいつもの無意味な実験。たった6人の乳酸地と血糖値を測り、一定のプラスイオンを吸えばどうなるかを調べていましたが、結果は全員測定値の低下が見られ、なので「細胞の老廃物、炭酸ガスの排出がスムースになり細胞が活性化した」としゃあしゃあと説明していましたが、そんなことが血液検査の結果でわかるわけないだろ。ここも意味不明。
さらに1人の被験者にマイナスイオン発生器を1週間貸し出し、使用させて1週間後に血液の粘度をモニターに映していました。結果はいわずもがな、サラサラになっていました。以前もどこかに書いたのですが、その時の身体の水分量によって容易に粘ったり逆に流れやすくなったりしますので、この器械を使ったからかどうかなんて、どう考えてもわかるわけがありません。いや、強引に結びつけているのです。
ここで「プラスイオンに気をつけて生活しましょう」とナレーションが入りましたが、どうやったらプラスイオンに気をつけることが出来るのか?ここではあからさまに「マイナスイオン発生器を買いましょう」という魂胆がミエミエ。見えすぎだぞ。今一度言っておきますが、血液を造るのは食べ物です。だからイオンがどうこうなんて全く関係なく、食生活の方が大切だと毎回毎回言わせるなよなー。
「プラスイオンと自律神経」
ここでもストレスからくる自律神経失調症がマイナスイオンに原因があるとすると言う論理のねじ曲げが行われています。自律神経の説明では「交感神経は血流ルートに関係し緊張、副交感神経は消化ルートに関係しリラックス」としていましたが、ここは正しい説明。
そしてこれが崩れると体調不良(不定愁訴)が起きるとし、これには「プラスイオンが交換神経を緊張させる」と現金に笑いが止まらない東京都立大学、琉子助教授がコメントしていましたが、これを受けて番組では「仮説」と題して「マイナスイオンは副交感神経を働かせ交感神経を一時的に抑制させる」としていました。まあ、そういう効果は一時的にはある(?)のかもしれませんがどうかな。
しかしいつも断言するのに今回は「仮説」という言葉を用いています。なぜ曖昧な展開のかな?と思っていたら東京都立大学、琉子助教授のコメントが入りました。「自然環境の中のマイナスイオンが生体に及ぼす影響はまだ調べられていないんです」だそうですが、都合の悪い部分をよく正直に放送したもんだなと感心している場合ではありません。
ここで注意したいのは、「マイナスイオン発生器には効果がある」と暗に言っている事です。空気がきれいになれば当然いろいろな不快な症状は取れるでしょう。しかしそれだけに着目して特定の器械の販促番組的な展開はいやらしいにも程があります。
ここで例によって効果を確かめる実験。被験者が8人とこれまた少なく、どうしようもない実験なのですが、ここではまず安静時の血圧を測る、次に氷水に15秒手を浸した後また血圧を測る、というものです。ここでこの血圧を測定するのがなんと市販の電子血圧計。しかも手首で測るタイプで、心臓から遠いほど誤差が大きくなり、とても確かめる実験に適しているものとは言えません。まあ、毎回誤差範囲を都合のいいように解釈する、または結果の捏造をするこの番組だから何も言いますまい、このあほんだら。
この実験は血圧から自律神経がどうなっているかを見ようとしていますが、盛んに「病院でも行われている寒冷昇圧テスト」と言っていました。確かにその試験方法はあるものの、映像を見る限りいい加減な実験で、この結果をただちに自律神経の変調とは断定できません。こういうところを見ていきますと、いかにいいかげんな実験かがわかりますし、ほんまにいいかげんにせんかい。
<参考>以下南山堂医学大辞典CD-ROMよりコピペ
「寒冷昇圧試験」
冷水による血管運動神経反射を検査するもので血管系の自律神経機能状態をよく反映する.しかし,結果から直ちに全自律神経機能状態を判定することはできない.被検者を20〜30分間安静臥位にし,血圧および脈拍が安定した後,血圧測定と反対側の手を腕関節の上まで4℃の氷水中に浸し,その間15秒ごとに最高,最低血圧を測定する.1分後に手を氷水中から出し,その後2分ごとに血圧測定を続け,冷却前の値にもどるまで行う.最大血圧上昇20mmHg以上は血管運動神経緊張亢進状態とし,20〜29mm(+),30〜39mm(++),40mm以上(+++)とする
ここでマイナスイオン発生器のメーカーから多額の謝礼金をもらっているので義理立てて放送しないといけない番組は「番組仮説」と題して「室内をマイナスイオンにすれば自律神経は正常に戻る」としていました。ここ重要です。毎回大胆な論理の飛躍、すり替え、ねじ曲げを行ってきたこの番組にしては控えめな展開。でもまあ、「仮説」としておけば責任は逃れられますし、マイナスイオン発生器が5万円前後かそれ以上であることを考えると、苦情対策ともとれるわけです。社会的影響が恐くなったのか?
それで実験結果はというと、「8人中3人が改善」という、この番組にしては控えめな結果。毎回このページでこきおろすので、今回は正直に公表したのかもしれません。その3人は自覚症状も改善したと言うことで、「よく寝れる、首のコリがとれた、便秘が改善した」という被験者のコメントを放送していました。特に便秘の改善が見られた女性は「10日に1回、2週間に1回だったのが今週は3回も出た」とコメントしていました。
しかし小学生の頃を思い返しますと、可愛い子はウンコをしないというのが男子の間では当然のように語られていて、私も当然そう思っていました。逆にぶさいくな子は、それはそれは巨大なウンコをするもんだと言うのが定説で、当時は男女共用でしたから、水洗便所で流れていない大ウンコを見つけたときには今思うと可愛そうなのですが、不細工な子が犯人にされていたものです。また、今もそうかもしれませんが、学校でウンコをするということは、それこそ犯罪に近いものがありまして、私も学校では我慢に我慢を重ね、帰り道でよく野グソをしたものです。中にはウンコをしているところを見つかり、上からバケツで水をかけたり、下の隙間から掃除用のホースを使って勢いよく水を放出したり、相当悪い事をしたものです。そんなウンコ禁止に近い状態ですから、みんな我慢をするのですけど、それでも限度を超えてもらしてしまうというのもちょくちょくありました。廊下にウンコが落ちていることなんてしょっちゅうで、それを見つけては犯人は誰かを捜すためにおしりのニオイをかいで回ったり、ウンコをもらしたまま窓の暖房用スチームで乾かそうとして教室内がおぞましい程の悪臭で充満したり、今思うと懐かしいですね、と、ここに書いても「しょうもないことを長々と書くな」なんて言われそうですが、どうして怒るんですか。
話がそれましたが、今回の実験は方法にいい加減さがあるものの、8人中3人しか効果が出なかったという正直な(?)結果は評価に値します。毎回このように正直に結果を出せば、少人数の単なる個人差ということがよくわかりますし、視聴者も「なんだ、たいして効果ないじゃん」と思うかもしれません。これは今回だけかもしれませんが、ようやく実験に意味がないことが番組ではわかってきたようです。
東京都立大学、琉子助教授
「生体にいい結果を及ぼしたという結果を今回導き出しているのではないかと思います」
やっぱりわかってないんかい
「家の中のプラスイオンの恐怖」
ここでこの番組は大きくずっこけます。「豊かさの代償として身体がプラスイオンに侵されていく」というナレーションから始まった最後のコーナーは東京都の松本さんという30歳の主婦の実例で紹介していました。1997年に結婚し現在のマンションに移り住んだのですが、引越ししてから喉の調子が悪いらしく病院で喘息と言われたそうです。そこで寝室内のプラスイオンを測定すると3360個あり、これは渋滞した交差点と同じ値だそうで、1日7時間交差点でじっとしていたことになるのだそうです。そんなアホな〜。
これをまともに見る人もいないとは思いますが、考えても見てください。交差点で7時間もいたら排気ガスや粉塵で呼吸器がおかしくなるのは必至で、イオンなんて全く関係なくなってきます。ここは単に大げさに見せかける為の演出と見ていいでしょう。ばかたれ。
ここで悪の病巣を発見するという「イオンバスターズ」なるイオン分野のスペシャリスト4人がにぎにぎしく登場していました。誰かにぎにぎしてください。それぞれ空気ガス分析、ガス検知、訳のわからない菅原研究所、今回の主役である琉子博士が構成メンバーですが、こんなインチキ集団が何を発見できると言うのでしょうか?
まず第一の発見はホコリが多い事だそうです。ここでは「プラスイオンがホコリを溜めやすい」としていましたが、なんのことはない、単に松本さんが掃除不精であることが露呈されたという恥さらしの結果が出たに過ぎません。調べて見るとダニやダニの糞が多くあるそうで、これはいわゆるハウスダストと言う物ですから、りっぱなアレルギーの原因となる物質です。掃除をすれば済む事をイオンに結び付けてどーするよ。
さらに換気をすればプラスイオンが低くなり、窓を閉めれば元に戻るそうで「マンションの換気が悪いことが原因」と、掃除をしていない松本さんのフォローなのか何なのか、理解に苦しむ解釈。確かにマンションは高気密なのですが、ちゃんと掃除しなさいよ松本さん。ちなみに、もしハウスダストに対してアレルギーがある場合、じゅうたん、マットレス、寝具、ぬいぐるみなどは特に念入りに掃除、あるいは排除する方向で考えてみてください。
さらに調査した結果、壁付近にプラスイオンが多いということが判明したそうで、「ホルムアルデヒドなどのシックハウス症候群」だとしていました。この原因は壁紙の接着剤などが徐々に揮発する事で起きる症状で、特に新築のマンションや1戸建てで多く起こるのですが、最近では低ホルムアルデヒドを謳う商品も登場し工夫がされている物です。
これに「プラスイオンが関係する」なんて言ったって誰も相手にしないぞ。さらにフタル酸ジ-n-ブチルが壁付近で基準値の2倍以上発見されたそうですが、これが「プラスイオンの発生源」とする、論理のすり替え以外にどうにも説明がつかない展開を平気でやってのけています。いいかげんにしろよ、ほんと。
もうどうでもいいのですが、対策としては炭を部屋に置いたり「虎の尾」と呼ばれる観葉植物を置けばマイナスイオンが増えるのだそうです。そうした対策をした松本さんは喉の違和感がなくなったそうで、これはマイナスイオンがどうこうという屁理屈より、空気清浄の効果、または単なる気のせいと言ったところでしょうか。
さて、この実例から導かれた対策法は「炭と虎の尾」なのですが、あからさまにマイナスイオン発生器の宣伝はどうやらまずいと言う多少の良心が働いたのか、導入から中盤までマイナスイオン発生器を推奨する展開からはトーンダウンしていました。「これらは観葉植物を扱うホームセンターなどで購入できます」などとナレーションでは言っていましたが、協力メーカーの手前、番組が本当に言いたかったことがあります。それは・・・
「マイナスイオン発生器を買いましょう」
「ある子のコーナー」
無視しようかとも思ったのですが、トルマリンという鉱石が紹介されたので触れずにはいられないでしょう。触ってもいいですか?ここでは「トルマリンは熱や衝撃などのエネルギーによりマイナスイオンを生成する自然鉱石」などと紹介されていましたが、これを利用した怪しいグッズが沢山あります。このトルマリンを使った商品で効能効果を述べると薬事法違反であり、その様な怪しい物には何ら効果を期待できない事を一応書いておきます。さて、今夜はトルマリン効果の寝具で寝るとするか。
最後のナレーション
「プラスイオンが多い現代社会こそ、こまめにマイナスイオンを取る工夫が大切と心得よ」
ぎゃははは〜〜
今回の感想
明らかなマイナスイオン発生器の販促番組。疾病に対してなんら効果が証明されていない物を推奨するという社会的影響をどう考えるのか?これを信じて購入する視聴者の苦情センターでも開設しないと、マイナスイオン発生器メーカーの懐を肥やすだけであることが全くわからないようです。論理の飛躍やすり替え、都合の良い解釈、これらが視聴者を惑わせるということを本気で考えないと国民の健康は遥か彼方に遠ざかってしまうということが理解できないようなので、このページでは引き続き考察して行きたいと思います。
尚、マイナスイオン発生器を購入して「体調が良くなった」とするメールや一般市民を装った販売業者の方のご意見、掲示板での書きこみはご遠慮下さい。効くと思って改善してしまうプラセボ効果(=心理的効果)は管理人は否定するつもりはありません。ですからそのような体験をしてしまう方はここの記述はかえって害になる可能性があります。
さて次回は「クエン酸」
たぶんTCA回路(クエン酸回路)についてつべこべ屁理屈をこねた後、「現代人の身体の不調にはクエン酸がキーワード」という展開がもうすでに丸見えです。しかし毎回毎回キーワードキーワードってあんたキーワードを乱発するなよな。キーワードっていったいなんだ?
お知らせ。
またいずれTOPページに紹介しますが、当ページが初心者向けパソコン雑誌
「Win People」(2月26日発売、潟Aスキー)に「編集部お勧めサイト」として紹介されます。
どのようなコメントが付くかはわかりませんが、興味のある人は本を買ってみてください。
うわぁ〜い