川原で見つかる石

荒川の川原を歩いてみるとたくさんの小石に出会います。
ていねいに小石をみてみるとつぶつぶがみえるもの、キラキラ光るもの、うすくはがれそうなものなど
いろいろな石があります。
Aの石は長瀞の川原で目だって見える特徴的な石です。マグマが冷えて固まった、火山のはたらきでできた岩石です。
Bは表面がキラキラして、薄くはがれそうな石です。一度岩石になった後、地下深いところで生まれかわった岩石です。
Cの白い岩石は何でしょう?じつはこれ岩石ではなく鉱物といいます。鉱物と岩石はちがったものなのです。
どれも一口にいってしまえば小石ですが、じつは、それぞれちがったものなのです。
下のページを参考に、野外へ出て、埼玉の岩石や鉱物の観察をしてみましょう。


石と鉱物のちがい 

岩石はいくつかの種類の鉱物が集まってできています。
Aの閃緑岩をくだいて、つぶをとり出すと、いくつかの種類のつぶにわかれます。
このつぶを鉱物といいます。
閃緑岩は石英・長石・輝石・角閃石などの鉱物が集まってできています。
よって岩石です。
Cの石英は石英という鉱物だけの集まりなので岩石とはいえません。
簡単にいうと、これが岩石と鉱物のちがいです。

岩石のでき方
火成岩
堆積岩
変成岩

岩石の利用

鉱物を採集しよう

鉱物の見分け方

結晶をつくってみよう

鉱物の利用


岩石のでき方

火成岩

1 火成岩とは

火成岩は、マグマが冷えて固まってできた岩石です。
マグマの成分のちがいや、冷えて固まるまでの時間により、いろいろな種類に分かれます。

2 埼玉で見られるおもな火成岩

埼玉県には火山がないので、観察できる火成岩は少ないです。
下図のように、石英・長石・雲母からなる半深成岩のアプライトや
長石・角閃石・輝石からなる深成岩の閃緑岩などが観察できます。


堆積岩

1 堆積岩とは

水の流れや風などによって運ばれた小石、砂、土などが川や湖の底、海の底に長い時間をかけて堆積し、固まってできた岩石です。

2 コンクリート放流実験データ
 
埼玉県立自然史博物館実験資料
四角いレンガも、川を流れるにしたがって、丸くなっていく様子がわかります。
いずれ、砂粒や目に見えないほどの泥の粒などに変化し、水の流れのゆるやかなところに堆積していきます。

3 埼玉で見られるおもな堆積岩

埼玉を代表する堆積岩には武甲山に代表される石灰岩や山地に広く分布するチャートがあげられます。
どちらの岩石も遠く、深い海の底に堆積してできた岩石です。


変成岩

1 変成岩とは

すでにできた堆積岩などが、高い熱や強い圧力をうけて、もととはちがう岩石に生まれかわった岩石です。
埼玉県ではおもに2種類のでき方の変成岩がみられます。

2 埼玉で見られるおもな変成岩

接触変成岩

大滝村の中津川上流では、接触変成岩である
泥岩のホルンフェルスや砂岩のホルンフェルスが観察できます。
また、石灰岩の接触変成岩である大理石も広く分布し、
秩父鉱山では現在でも資源として採集されています。

広域変成岩

広域変成岩にはヘンマ岩や結晶片岩があり、
長瀞や寄居の川原では結晶片岩が広く露出しています。
泥岩の変成岩である黒色片岩や玄武岩の変成岩である緑色片岩など、
結晶片岩の仲間にもさまざまな種類があります。

岩石の利用

石器時代は石器として
埼玉県埋蔵文化センター蔵
堆積岩のひとつに、チャートという岩石があります。
チャートは大陸から遠くはなれた深い海の底に、ニ酸化珪素の殻を持つ、放散虫の遺がいが
堆積してできたと考えられている、とても硬い岩石です。
チャートの分布は広く、石器時代には、石器として利用されていたようです。
県内の遺跡からチャートでつくられたやじりをはじめ、多くの石器が発見されています。
記念碑や板稗に
県立自然史博物館の記念碑
岩石でつくられた記念碑や板稗も数多くあります。
なかでも結晶片岩は見た目が美しく、立派な記念碑になります。
自然史博物館の記念碑も結晶片岩が使用されています。
飾り石に
蛇紋岩のブックエンド
見た目が美しい石は、飾り石や庭石としても利用されます。
県北部、神流川沿いの三波石が有名ですが、秩父の蛇紋岩も装飾品として切り出されています。
特に、方解石が網目のようにきれいにはいったものは珍重されています。

鉱物を採集しよう

1 鉱物を採集する道具

用意したい道具
ハンマーは、鉱物採集の必需品です。
やや高価ですが、岩石・鉱物専用のものを用意するのがよいでしょう。
柄が折れたり抜けたりしないので安全です。
手袋も用意したい道具です。
軍手でもよいですが、革製のものが長く使えて便利です。
最後にルーペです。
倍率が10倍程度の径の大きいものが目が疲れにくいのでおすすめです。
あると便利な道具
硬い岩から鉱物を取り出す、たがね
石を割るときに目を守る、安全めがね
粘土の中から鉱物を探しだす、ふるいなどはあると便利です。
いずれも、百円均一ショップなどで手に入れることができます。


2 鉱物はどこにある

鉱物はどこにでもあります。
しかし、美しいものや珍しいものは特別な場所を探さなくてはなりません。
立ち入りの許可がもらえれば鉱山や採石場がよいでしょう。
しかし、立ち入り禁止が多いので、現在、操業していない鉱山や
採石場のズリ(掘り出されて不要とされた鉱物が捨ててある場所)などを探すのがよいですが、
危険がないよう、充分に気をつける必要があります。


鉱物の見分け方

○鉱物の性質を知り、鉱物を見分ける手がかりにしよう。

結晶する
ほとんどの鉱物は、決まった形をしています。
これを結晶といいます。
その形はいろいろありますが、結晶形を覚えておくと、鉱物を見分けるときに役に立ちます。


硬さがちがう
鉱物はそれぞれ硬さがちがいます。
その硬さを調べるには古くから使われている「モースの硬度計」が便利です。
しかし、ここでの硬さは引っかいたときに傷がつく、つかないの硬さです。
ダイアモンドはモースの硬度計のいちばん硬い硬度10の鉱物ですが、
ハンマーでたたけばこなごなに割れてしまいます。
身近なものでは「爪」「10円硬貨」「クギ」を利用しましょう。
だいたい爪は硬度2.5、10円硬貨は硬度3.5、クギは硬度5.5です。
たとえば、秩父鉱山で黄鉄鉱と黄銅鉱を見つけたとしましょう。
どちらもにぶい黄色をしている、見た目では同じような鉱物ですが、
黄鉄鉱のモース硬度は6程度、黄銅鉱のモース硬度は4程度なので、
クギで引っかいてみることで見分けができます。


決まった割れ方がある
鉱物には、決まった方向にそって割れやすい性質をもつものがあります。
方解石には、3方向に割れやすい性質があるので、ハンマーで割ろうとすると、
四角い箱をつぶしたような形に割れ、小さくなっても同じ形になります。
一方、石英のように、この性質のないものもあります。
石英をハンマーでたたくと、割れやすい面がないので平らな面はできず、くだけちります。
方解石の割れ方 石英の割れ方

結晶をつくってみよう

☆小学校の水溶液の学習で使った、カリウムミョウバンで大きな結晶をつくってみましょう。

@薬局で売っている、カリミョウバンを購入する。

Aシャーレなどに60℃くらいのお湯を入れ、
  カリミョウバンを溶けるだけ溶かす。
  一日おき、種結晶をつくる。(右上図)

BビーカーなどにAと同じように水溶液をつくり、
  右下の図のように、種結晶を細い釣り糸でつるす。

C数日観察し、結晶が大きくなるのを待つ。
○ろ紙でこして、不純物をなくしたり、
  コタツの中などのあたたかいところでゆっくり冷やすと、
  大きくきれいな結晶に育ちます。

鉱物の利用

現代の生活になくてはならない大切な資源となる鉱物もあります。
「川原を歩いてみよう」で紹介した石英は、
古くからガラスの原料に利用されてきました。
現在は科学技術の発達により、
石英の主な成分であるケイ素からシリコンウェハーを加工し、
コンピュータなどの電子機器に使われるIC(集積回路)となります。
ICの集合体
かつての発明品
江戸時代の発明家、平賀源内は石綿を使用し、燃えない生地「火浣布(かかんぷ)」を織りあげました。
その石綿は皆野町ふきんのものではないかという説があります。
石綿はかつてさまざまなものに利用されていました。
理科の実験で、三脚の上において使った金網についていた白い部分も石綿です。
しかし、発がん性が指摘されてからは、利用がひかえられています。
工芸品として
かつて長瀞では地元の滑石を印材や石細工として加工し、販売していました。
現在も滑石細工のみやげ物はありますが、材料は日本のものではありません。
アクセサリーに
自然史博物館の展示より
色や輝きの美しい鉱物は、アクセサリーとして利用されています。
傷つきにくく、珍しいものは、たいへん高価です。
日本では縄文時代にはすでにヒスイが
勾玉というアクセサリーに利用されていました。
ヒスイには硬玉と軟玉の2種類があり、
秩父郡皆野町三沢の蛇紋岩採石場から、
みごとな軟玉が産出しています。

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